「ふたりのヌーヴェルヴァーグ ゴダールとトリュフォー」(2010)

 

タイトル通りの内容のドキュメンタリーをU-NEXTで観ました。

 

 

二人の仲良しが仲が悪くなって終わってしまいます。予告編はコチラ

 

ヌーヴェルヴァーグの代名詞的な存在のゴダールとトリュフォー。この映画では、世界の映画史に残るムーヴメント"ヌーヴェルバーグ"がどのようにして起こったのかという経緯と、当初は共闘体制だった二人がいくつかの出来事を経て、いつしか袂を分かっていく様子を、二人が監督した映画のシーンを挿入しながら進めていく内容になっています。ヌーヴェルヴァーグの入門編のような構成で、当時の二人のインタビュー映像は貴重です。もう一人の登場人物はジャン=ピエール・レオー。トリュフォーの「大人は判ってくれない」(1959)でデビュー。この映画のドワネルという役どころでさらに4本の映画に主演、トリュフォーの分身のような俳優である一方で、ゴダール作品でも数本主演を務めています。ゴダールとトリュフォーの板挟みとなって、精神的に苦しんでいた時期があったそうです。ラストシーンで流れるデビュー作のオーディション映像も貴重です。

 

監督はドキュメンタリー畑のエマニュエル・ローラン。ヌーヴェルヴァーグ50周年を記念して、2009年のカンヌ国際映画祭で上映された作品にさらなる編集を加えたのが今作だそうです。二人が映画批評を掲載していた『カイエ・デュ・シネマ』元編集長のアントワーヌ・ド・ベックが脚本とナレーションを務めています。貧しい環境で育ったトリュフォーと裕福な家庭で育ったゴダールが映画という共通の文化を通して知り合って、協力しながら映画作りをしていた幸福な時代を経て、アート要素と商業性をうまく両立させていったトリュフォーに対して、商業主義を否定して前衛化していったゴダールの間に大きな溝が出来てしまって、トリュフォーが亡くなってしまったことにより、二人の関係は修復されることのないままとなってしまいました。

 

ゴダール監督作品を何本観たことがあるのか確認してみたら7本しか観てませんでした。中期の政治的メッセージ強めの映画は全く観てません。一番好きなのは、やっぱり「気狂いピエロ」(1965)ですかね。カラフルでフォトジェニック、以上。そして、トリュフォー監督作品は12本観ていました。一番好きなのは、「恋愛日記」(1977)でしょうか。恋に貪欲すぎる男が面白かったです。トリュフォーの映画の方が情緒的で楽しめる映画が多い印象です。彼ら二人の作品も素晴らしいですが、ヌーヴェルヴァーグの作家の中では、ルイ・マルやクロード・シャブロルの映画も好きですね。トリュフォーは1984年に52才の若さで亡くなってしまいましたが、ゴダールは健在で、クリント・イーストウッドと同じ年なので、今年91才になります。間違いなく、生ける伝説の一人です。この前もオンラインのディスカッションに参加していたようです。