「激殺! 邪道拳」(1977)

 

千葉真一主演の日本・香港・タイ合作映画を動画サイトで観ました。初見。

 

 

英語吹替版だったので、内容の一部を理解できてないかも。英語版タイトルは「Soul of Chiba」。アメリカでは"Sonny Chiba(サニー千葉)"のネーミングで千葉真一を売り出したニュー・ライン・シネマの配給で公開されました。

 

タイが舞台。幼い頃に母を亡くして孤児院を経営する武闘家に育てられた男(千葉真一)が主人公。しかし、その師匠が兄弟子のサムアン(鹿村泰祥)に待ち伏せされて殺されます。復讐に燃える千葉ちゃんはサムアンと対決しますが、師匠の裏の顔は麻薬組織のボスだと告白されます。話を信じない千葉ちゃんはサムアンに戦いを挑むもあえなく撃沈、瀕死の状態になったところを中国人女性(志穂美悦子)に助けられます。一緒に暮らしていた中国人の少年も千葉ちゃんに懐いてくれて、体調も少しずつ回復していきます。なぜか中国人娘が持っていた身体に強烈な電流が流れるマシーンを使ってビンビンに反射神経を鍛える謎の特訓をする千葉ちゃん。そんなことをしている間にサムアンは麻薬組織の幹部になっていました。組織にとって邪魔な存在となった千葉ちゃんを殺しにサムアンの部下たちが志穂美悦子宅を襲撃しに来ますが、あいにく千葉ちゃんは不在、家にいた志穂美悦子が応戦するも、サムアンには勝てず、殺されてしまいます。師匠だけでなく、志穂美悦子も殺された千葉ちゃんの復讐心はさらに燃え上がって、麻薬組織のアジトのある孤島に向かっていき・・・というのが大まかなあらすじ。

 

タイでも「キイハンター」(1968-1973)を放映されていて、千葉真一人気が高かったからなのか、全編タイでロケ撮影。千葉ちゃんの出演パートとは全く関係ない文脈で、タイ人ブローカー(タイ人俳優のクン・シヴィライ)と麻薬組織が対決するストーリーが余分に入っています。このパートで活躍するのは麻薬組織に潜入捜査をしていた刑事(山下タダシ)タイ人ブローカーの命を救って自宅に匿ったら、家のお手伝いのおばちゃんがタイ人ブローカーの(幼い頃に生き別れになった)実の母だったというお涙頂戴のどうでもいいエピソードもあります。刑事は麻薬組織に乗り込む千葉ちゃんに同行して、最後の決戦で共に戦います。銃も持った50人くらいのチンピラに一斉に襲われますが、素手の二人はほとんど無傷でなぎ倒します。ブロンソン・リーの別名で海外でも活躍した山下タダシと千葉ちゃんのアクションはキレがいいです。ラストの千葉ちゃんとラスボスの鹿村泰祥との日本人役者バトルも見応えがあります。

 

監督は野田幸男と陳銅民。企画が香港の俳優ヤン・スエだったらしく、麻薬組織の用心棒で登場して、山下タダシと対決します。あと、千葉ちゃんに懐く子役のピーター・チャンは共同監督の陳銅民の息子で、本人も後に映画監督となって大成しています。復讐の炎がメラメラと燃えている千葉ちゃんは大人になってから麻薬常習者になっており、ラストの激闘に勝った直後に息を引き取ってしまい、一人残された少年も、千葉ちゃんが遺した電流マシーンで特訓をし始めるという、予想の上を行くエンディングも待ち受けています。死んだはずの師匠が生きていてホントに麻薬組織のボスだった精神的ショックと電流を流す特訓マシーンで蓄積された電気ショックも死んだ原因だと思われます。ちなみに、日本での同時上映は「大奥浮世風呂」(1977)