「ルル・オン・ザ・ブリッジ」(1998)

 

ポール・オースター監督の幻想的な映画をU-NEXTで観た。

 

 

作家ポール・オースターが脚本・監督を務めた恋愛映画(のような映画)。

 

主演は、ポール・オースター脚本の「スモーク」(1995)でも主演だったハーヴェイ・カイテル。昔から新しいクリエイターの意欲作に積極的に参加する俳優さんですね。サックス奏者のイジー(ハーヴェイ・カイテル)がステージで演奏中、ライブハウスに乱入して銃を乱射する精神異常者の弾丸を胸に受けてしまうところから始まり、そのあと病院で意識を戻したイジーが体験する様々な出来事が綴られていくお話です。

 

運命的な出会いをする若い女優役にミラ・ソルヴィノ、彼女が初主演をする「パンドラの箱」(1929)リメイク作品の監督役がヴァネッサ・レッドグレイヴ、イジーを尋問する謎の博士役がウィレム・デフォー、他にも、ルー・リードが本人のソックリさん役で、デヴィッド・バーンもチョイ役で友情出演しています。ジーナ・ガーションリチャード・エドソンなど濃い顔の人たちが多く出てますね。

 

退院後のイジーが元カノ主催の食事会の帰りに射殺死体を発見、現場で拾った不思議なアイテムの持ち主を探すうちに若い美女と恋に落ち、そのアイテムを追っている謎の男たちに監禁され・・・と予想がつかない展開になっていきます。実際には、映画の構成自体はシンプルで、冒頭でイジーが立っているライブハウスのトイレの壁にのちに登場する女性の切り抜き写真が貼られているシーンが、これから続く謎めいたストーリーのカギとなっています。

 

ネタバレをしてしまうと・・・、イジーが死を前にして、そのちょっと前に見たトイレの切り抜き写真を思い出しながら抱いている幻想を映像化した内容になっていると思われます。ロマンチックで切ない雰囲気は出ていますが、全体としての物語のバランスがうまく取れていない印象を受けました。文章で世界観を構築する能力に比べて、映像で世界観を構築する能力が・・・ということかも。

 

あと、ハーヴェイ・カイテルとウィレム・デフォーが対峙する場面は、別の犯罪映画として観てみたい2ショットです。それと、最初のキャスティングではジュリエット・ビノシュだったようですが、ヒロインのミラ・ソルヴィノがとてもキュートです。当時はタランティーノと交際中で、ダブリンの撮影現場にタランティーノもついてきたそうです。また、冒頭のシーンに出ていたヴァネッサ・レッドグレイヴの昔の写真がものすごくキレイで惚れてしまったので、最後に貼っておきます。