「SF核戦争後の未来・スレッズ」(1984)

 

U-NEXTで、傑作TVムービーを観ました。

 

 

イギリスBBC制作による核戦争後の世界を描いたお話。予告編はコチラ。同様のテイストで、アメリカのABCでも制作された「ザ・デイ・アフター」(1983)は当時観ましたが、内容は全て忘れてしまいました。今回の方が凄まじかったです。たぶん。アメリカ等のNATO諸国とソ連が対立して、全面核戦争となり、世界各国に核爆弾が投下されます。戦争に発展していく過程はTVニュースや新聞などで説明する程度で、核戦争前後の一都市の状況を市民目線で克明に描いています。

 

イギリス第4の都市シェフィールドに住む、若いカップルのシーンから物語は始まります。彼らに子供が授かって、結婚する、しない、なんていう日常のやりとりをしている間に、国際情勢がどんどん怪しくなってきてることがニュースでは報道されています。やがて、不要だ、不急だ、なんていう台詞も出てきて、スーパーの買い占め、核戦争反対の市民デモ、避難住民の車移動による大渋滞、一般電話の回線切断、各自治体の緊急対策本部の創設、危険分子の逮捕、そして開戦、空襲警報と事態はエスカレートしていき、いよいよ英国にも核爆弾が投下されます。そこからの地獄絵図が1時間ほど続きます。

 

タイプライターや電卓、ゲーム機、ウォークマンルービックキューブなどレトロなアイテムが使用されているイギリスの日常から一転して、目を覆うような光景が延々と続きます。盛り上げるBGMもなく、誰かのエピソードをドラマチックに描くでもなく、淡々と人が死んでいき、放射能をたっぷり浴びながらも生き延びていく人たちには絶望感しか漂っていません。死の灰が降った後は画面の色も失われてしまい、核戦争の十数年後の姿まで容赦なく見せつけられます。話の冒頭と終盤で「ジョニー・B.グッド」が流れますが、聴こえ方が全然違います。

 

脚本は「ケス」(1969)のバリー・ハインズ、製作・監督は「ボディガード」(1992)のミック・ジャクソン。ケビン・コスナーどころか、国からも守ってくれない悲惨なお話でございました。IMDBトリビアによると、大量の負傷者の血は全部トマトケチャップだそうです。あと、ガキが遊んでいたレトロゲーム機の音楽がピンク・レディーの「モンスター」のメロディと似ていたのが気になりました。何のゲームなんだろう?