「ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜」(2020)

 

Netflixで、ウィル・フェレルの新作コメディを観ました。

 

 

ユーロビジョン・ソング・コンテストという実在するヨーロッパ国別対抗歌合戦を舞台にしたコメディ。実際のコンテストでは、1974年大会でABBA、1988年大会でセリーヌ・ディオンが優勝していたりするようです。今年は残念ながらコロナの影響で中止となってしまいました。この映画も5月の本大会に合わせての公開予定だったらしい。

 

1974年大会のABBAの歌声を聞いて、この大会でいつか優勝することを誓った主人公がラーズ(ウィル・フェレル)とシグリット(レイチェル・マクアダムス)。30年くらい経った現在も故郷アイスランドでファイア・サーガというバンド名で活動しているようで、MVも絶妙のクオリティです。IMDBトリビアによると、ウィル・フェレルはスウェーデン人の奥さんの影響でコンテストの存在を知って、スウェーデン代表団に同行したりもしていたとのこと。

 

で、自国の予選で勝ち上がった1組だけが本大会に出場できるわけですが、今年も懲りずに大会にエントリーしたファイア・サーガがいろいろありながらもどうにかなってしまうというお話になっています。ラーズはコンテストの優勝だけを目指したまま、ただの変わり者になってしまったおっさんで、行動を共にするシグリットも教師をやりながら、妖精エルフの存在をずっと信じていて、ずっとラーズに想いを寄せているピュアな女性です。少し、どうかしています。エルフの存在を信じていない方のウィル・フェレルが、傑作コメディ「エルフ サンタの国からやってきた」 (2003)でエルフを演じていたのは、ちょっとしたジョークになっています。

 

ライバル陣には、アデルっぽい人や、ジェニファー・ロペスっぽい人などもいますが、ロシア代表のお兄さんがいかにもガチな感じのキャラの敵役として2人の前に立ちはだかります。ヨーロッパのコンテストに何の関心もなく、「ゲーム・オブ・スローンズ」のロケ地巡りをしているアメリカ人観光客もいい味を出してます。ラーズの父親役で出ているピアース・ブロスナンの存在感もいいです。ABBAの曲をベースにした「マンマ・ミーア!」(2008)に出演していたこともキャスティングされた理由かもしれません。

 

若干ダレるところもありますが、歌う場面がやっぱり幸せな気分になれるし、最後にちゃんとほっこりもできるので、安心して楽しめるコメディ映画でございました。あと、2014年大会出場者のドラァグ・クイーン、コンチータ・ヴルストもちょこっと出ていました。他にも、ユーロビジョン・ソング・コンテストをよく知ってる人たちには分かる小ネタが散りばめられてるんじゃないでしょうか。