Netflixの新作コメディのシーズン1を観た。
コロンビアのコメディを観るのは初めて。制作はダゴ・ガルシア。コロンビアで初めてアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた「彷徨える河」(2015)(ヘルツォーク映画のように見応えのある密林探検物)の共同制作者の一人だったり、映画やTV、Netflixのプロデュースも多いやり手のようです。
こちらのシリーズはユルいコメディで、子供向けのつまらないマジックショーで生計を立てる二流マジシャンを演じるのが、アントニオ・サニンというコロンビアのコメディアン。マジックと家族への愛情は人一倍ですが、どうも頼りないおっさんです。ある日、本に書かれていたマジックで、麻薬王の姿を消すことに成功してしまいます。麻薬王といっても、「ナルコス」(2015‐2017)みたいに冷酷非情なボスではなく、二代目のボンボンで、いつも嫁の尻に敷かれて、イブラヒモビッチみたいな顔した、こちらも頼りない悪党です。その麻薬王隠しの罪でフアンキニは警察に拘留されますが、彼のおかげで警察からの手から逃れることができた麻薬王に気に入られて、マジックの力でいつでも身を隠せるようにとフアンキニを警察から奪還、大邸宅に監禁。そこから逃げるの、逃げられないの、捕まえるの、捕まえられないの、どうでもいいの、という展開になっていきます。
マジシャン家族と麻薬王一味、その両方を追いかける警察一派にそれぞれクセのあるキャラがいて、フアンキニのバカ娘とダメ息子、麻薬王の恐妻、恐妻のお付きの魔女、警察捜査チームの凸凹コンビ、アメリカからやってきたエロい日系人女性捜査官たちが絶妙なハーモニーを全然織りなしてくれないまま、エピソードは消化されて、最終的にはマジックの奇跡の謎も残したまま、シーズン2につづく、となってしまいました。ただ、フアンキニがマジックショーでポール牧みたいな動きをしながら言う『マヒアー、トロピカ~ル(トロピカ~ルなマジック)』の決め台詞だけが脳裏にこびり付きます。ラテンアメリカ市場向けなので、脳内がトロピカルな時に見るとちょうど良いのかもしれません。