いよいよ東京オリンピックということで、U-NEXTで観戦。
神田青果市場で仲買人をしてる上田吉二郎の孫娘ミツ子役の十朱幸代が主演。市場の仕事を手伝いながら、親代わりに面倒を見ている祖父に内緒で東京オリンピックの水泳代表選手候補としてもがんばっている女子大生。三波春夫に瓜二つの顔をした寿司屋の松つぁん(歌も三波春夫と同じくらい上手い)をはじめとした、町内のマスコット的存在です。そんなある日、祖父に水泳をやってる事実がバレてしまい、はたして、ミツ子は直前に迫った代表選考会に出場できるのか・・・というお話。
実は、父親がマラソン選手をしていることが元で、体を壊して死んでしまったことが、祖父がスポーツを忌み嫌う理由だとその後の展開で分かるんですが、母親が死んだ理由にも一切触れてないし、物語の肝であるべきポイントがどうも理解しづらくなっている。ここであらすじを読むと、原作では、「ミツ子の父が、ベルリン大会の時オリンピック選手にもれてから、大酒呑みになり、事故死したことが原因」ということらしい。映画じゃ、そんな説明してないやん!
推測するに、映画のタイアップでアサヒビールがスポンサーになったので、原作にあった死因に触れられなくなったんですね。ミツ子の両親の仏前ではアルコールを飲まない祖父の描写が残っているので、脚本執筆時と撮影時の間で何らかの調整が入ったのかも。昔の映画によくあることですが、その他にも、いすず自動車やタクトステレオ、オリンピックナッツなどの商品がやたら画面や台詞に登場します。ご親切に、当時のオリンピック関連施設めぐりもしてくれます。で、いろいろあってから、物語はハッピーエンドを迎えます。十朱幸代と(当時新人の)山本陽子の水着姿も楽しめて、三波春夫(芝居もうまい)の歌謡ショーも最後に観賞できますので、お得な映画です。競作だった東京五輪音頭が三波春夫の代表曲のひとつになった経緯も記事を読んで初めて知りました。