世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド | h96のブログ

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世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド  上下
村上春樹


『街と、その不確かな壁』(1980年9月)
これから読点が一つ抜かれたものが
2023年4月発売の長編『街とその不確かな壁』の題名に通ずる。
知らなかった。お~~すごい。

ま、とにかく『街と、その不確かな壁』から通ずる作品がこの『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』であるらしい。
そして、1985年から38年後(又は80年から43年後)、改めて点無しを発表。すごい。
『世界の終わりは』その通り『点無し』と通じるが、点無しが続編かというとそうでもない。あれイエローサブマリンの少年は何だったんだっけ?
紡がれる世界観は同じなのだが。・・・ならそうなんだろうか。)
点無しは時間があれば再読だな。
点ありは未読だが、まいいか。ハルキストでもないし。

【上】
高い壁に囲まれ、下界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす<僕>の物語、〔世界の終わり〕。
老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた<私>が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。
静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。
・・・文庫背表紙より

【下】
<私>の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会した<私>は、回路の秘密を聞いて愕然とする。
私の知らない内に世界は始まり、知らない内に終わろうとしているのだ。
残された時間はわずか。
<私>の行く先は永遠の生か、それとも死か?そして又、〔世界の終わり〕から<僕>は脱出できるのか?
同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。村上春樹のメッセージが、君に届くか?
・・・文庫背表紙より

【第21回谷崎潤一郎賞】

(1985年6月 初出)
文庫奥付 平成22年4月 発行(2010年)

『1Q84』も読もうかな。


■□■□■□<ネタバレ>■□■□■□
(記憶喪失対策用に少し詳しく書くので注意)
心、意識の深層を探った物語かな。
心の核が壁に囲まれた街である。
<私>の意識は第3の回路に飲み込まれハードボイルド世界での生が終わり〔世界の終わり〕に向かい、影を見送って〔世界の終わり〕に残った<僕>は心を(影を)少し残したためにそこの森(第3の回路?)でのみ過ごすこととなる。
ここに合流した。
永遠に。
<私>の身体はピンクの少女が冷凍保存してくれるとなったが、もしその身体が土に還ったならば〔世界の終わり〕は存在できるのだろうか。


『点あり』について、の、あらすじ等
18歳の夏の夕暮れ、「僕」は「君」から高い「壁」に囲まれた「街」の話を聞く。「君」が言うには、ここに存在するのは自分の「影」に過ぎず、本当の彼女はその「壁」に囲まれた「街」の中にいるという。

「君」(の影)はその後まもなく死に、「僕」は「君」から聞いた「ことば」をたよりに「街」に入り、予言者として「古い夢」を調べることになる。「僕」は本当の「君」に出会い、しだいに親しくなっていくが、「影」を失った彼女とはどんなに言葉を交わし、身体を重ねても、心を通わせることはできないことに気付く。

やがて「古い夢」を解放することに成功し、その底知れぬ悲しみを知った「僕」は、「影」を取り戻して「街」を出ることを決心し、留まらせようとする「壁」を振り切って現実世界へと回帰する。

弱くて暗い自分の「影」を背負い、その腐臭と共に生きることを選択した「僕」は、1秒ごとに死んでいく「ことば」を紡ぎながら「君」の記憶を語り続けていく。

登場人物
物語の主人公で語り手。本当の「君」に会うために「街」へやってきた。「街」にある図書館に通い、「古い夢」の整理をしている。
16歳のときに「僕」と出会い、その後若くして死ぬ。「街」では図書館の司書として働いている。自分の「影」についての記憶はないが、「僕」が「古い夢」を調べる手助けをする。
僕の影
「僕」が「街」に入ったときに引き離され、門番小屋の地下室で暮らしている。門番によれば、「影」とは「弱くて暗い心」であるらしい。
門番
「街」への出入りを管理する者。「影」の世話や、死んだ獣たちの始末なども行う。
大佐
「僕」が居住する「官舎」の隣人である退役軍人。
獣たち
「街」に住む一角獣。「壁」の外との行き来が許される唯一の存在。