町田レコ屋⑯ | レコ屋巡りの夜

レコ屋巡りの夜

塩化ビニール(=レコード)中毒患者のトホホな日々を綴りたいと思います。
オリジナルが欲しいけど高いなら諦めます。

今年に入ってレコード墓場(ジャンク in ハードなオフ)での掘りが多くなり、当然の如く不作に次ぐ不作で、失敗に次ぐ失敗(森進一のカラオケ盤を買ってみたり)。やっぱり折角首都近郊に住んでるんだからと都会へ這い出してみる。

 

そこで選んだのは、久し振りの町田→横浜コース。特に横浜・関内D店が気になっての選択。そう、関内D店ROCK棚がここ数年ガッタガタのスカスカだったのが、コロナが落ち着いた今現在どうなったのかと。前回は渋谷→新宿という、首都圏レコ屋巡りで激烈ハードコア・コースを選択したので、今回は緩~く行きたいところ。

 

町田駅を出て、駅前コンコースを映した画(通路の向こうがJR町田駅)。人が多すぎていなくなる瞬間が殆どない。

 

とにかくここ町田はいつ来ても人が多い。そりゃ渋谷に比べりゃ全然ですが、混んでる通りなんかは新宿と大差ない。というか、人がワチャワチャいるところに店を出すのが商売の基本と言えば基本。こちとら脳内はレコの事しかないんだから知ったことではない。

 

そして駅から朝から行き交う人を搔い潜り、約5分ほど歩いて到着するは…

AM10時からやってる、町田ブックオフ。ビル一棟丸ごとブックオフで、何でも売り上げが日本一?らしいです(違ったらご指摘プリーズ)。

 

ここのB1Fに結構な広さのレコ売り場があるわけです:

ここも客が消えるのを待っての画。このブックオフから2分の所に町田D店(AM11時開店…この日は土曜日)があり、D店開店まで掘ったらんかい!と。

 

写真の右側がROCK棚なので順々に見て行くと…相変わらず国内盤が多い。買い付けはしてないだろうし、客からの買取100%と考えればさもありなん。ウ~ン、それにしてもこれは、ヤフオクの落札価格を見て値付けしてるんかな?相変わらずというか、値段が無茶苦茶だ。Beatles のちょっと珍しい80年代に出た赤盤(透過しない赤)帯付きで平気で1万円越えとか。安いから密かに集めていたDionne Warwick の帯付きなんか3,000円近く!数年前、Dionne 国内盤をまとめて買ったときは、この1/10の価格だったのに(@D店)!ウ~、レコの世界は厳しい(涙)。

 

ROCK棚を諦め、正面のJAZZコーナーに移るがここも殆どが国内盤。因みに写真奥の壁の左側に沿って、JAZZと和物の棚が続いている。ブックオフ的にかなりのレコ売り場面積かも(他の店はあまり知りませんが)。ん~…プラッと寄ったブックオフでは何も見つからんか?と思っていたら、これが出た:

 

Jimmy Smith – The Cat (Verve V6 - 8587) US LP 国内盤仕様 帯、インサート付き 見開きジャケット 1970年頃? 900円

 

これは…1年前に来た時にも見たやつだ。まさか売れ残っていたとは(トホホ…)。これは当時よくあった、US盤を直輸入して国内産帯+インサートを付けて国内で販売した代物。そのときも一度レジで検盤プリーズしたところ、DG (Deep Groove…いわゆる深溝)がレーベルにない後期プレスと直ぐ分かった。多分これはDGが無くなる直後にプレスされた、直径が長い”棚”状態になった1969年以降の西海岸プレスに見られるもの(東海岸だと1965年頃以降に見られるようです)。

 

また、レーベル表記からもある程度は年代が判断できます。Verve は1960年にMGMに売却され、レーベルの下部の縁に"MGM METRO-GOLDWYN-MAYER" と表記されます。しかし1972年に Polydor/Polygram に売却されると、レーベル下部表記が "SUNSET BOURVARD, HOLLYWOOD" 表記に変わります(本社住所の移転ですかね?以後数年間はレーベル・リムがこの "SUNSET" 表記)。ん?自分が買ったレコって、DGないけどGOLDWYN表記じゃん。まさかDGなし東海岸プレスのオリジナル?ん~謎だ。

 

因みにそのDGとはレコード盤をプレスする際に出来る、金型の跡である。金型なので使用し続ければ金属疲労を起こし、使い物になら無くなれば新品の金型に交換される運命。その金型が時代によって(プレス工場によっても)異なるため、プレスされた年代を特定する判断材料となっている。考古学における、地中の炭素量から年代を測定するのに似てますかね?

 

このDGですが、米国では1968年辺りで姿を消すのでその周辺で初版がリリースされていれば、DGあるなしで即オリジナル or NOT と判断できますが、それより前(例えば上の Jimmy Smith - Cat は1964年)にリリースされていれば、DGが無くなる1968年までに再プレスされている可能性もあり、一概にオリジナルとは呼べない。しかも米国東海岸の工場では、西海岸工場より早くDG金型が無くなっているようなので(東海岸でプレスされていた Blue Note は1964年までDGがあるそうですが、それ以降はないらしい)、オリジナル判定は難しい。

 

ヤフオク(詳しくないです)の出品で、「DGありの高音質!」とか煽ってる売り文句がありますけど、嘘だろそれ(笑)。何でDGありの金型でプレスすると高音質なんよ?説明せんかい!(笑)

 

プレス年代判定は難しく、DGがないという事で再発と思われたかずっと売れず、ついに…

前回見たときは1,600円だったけど、900円に値下げされてた。シールが二重になってるのが分かりますかね?

 

店側の努力とレコの悲しみ、再発かもしれけど音質が劣るわけじゃなかろうて。再発を下に見る風潮もどうなんよ?と疑問に思う部分もあり、ワイが買ったるわい!とご購入。初期の国内盤を2枚持っているので、これが3枚目(のはず)。オリジナルと思いたいけど、無理でしょうねぇ(涙)。

 

一応、ジミー御大の代表作と言われています。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 

 

通常レコ棚は再発と思われるこの1枚で幕を閉じ、次は上の写真で『レトロゲーム』看板の裏にある棚に、図書館方式でゴリゴリに詰まった500円レコ”壁”に取り掛かる。ハードオフとブックオフレコの大きな違いは、ブックオフはとにかく美品しか買い取らないこと。少なくとも盤にキズが入っていたら買い取らないそうな(これは本も同じで、美品ばかりでしょ?)。なのでハードオフのようなレコード墓場の住人はいませんが、2軍落ち連中は全て500円レコ・コーナーに叩き込まれる。それがまたかなりの量なんですなぁ。

 

掘り出しても出てくるのはやっぱり、1980年代の良くレコが売れてた時代の国内盤。S&G, アバ、アダモ、ポール・モーリア…ウ~ム、町田まで来てレコ壁を掘り返してるのに、コレといったものは当たり前ですが出て決まへん(涙)。よく来る店ならまだしも、再び来るのは何か月後になるやもしれんと発掘作業を繰り返しているとこれが出た:

 

Dionne Warwicke - Dionne ( Warner BS 2585 ) US LP カンパニー・スリーブ付き 1972年 500円

 

世間も納得のUSオリジナル美品=500円と。安定のバート・バカラックを歌うディオンヌ嬢です。そもそも彼女の1st アルバムからバカラックとズブズブ関係なので、これもかよという一枚。もうバカラック+ディオンヌ・レコは何枚も持っているので一度はこれを棚に戻したんですが、「ひょっとしてプロモの白では?」と妙な閃きが頭を過りレジ検盤。そうしたら、安定のグリーン・ワーナーと(笑)。そう簡単にプロモ白(レーベル)なんて出てきまへん。でも盤が極美だったので…極美に抗えない男は、中年オヤジには厳しい500円をレジに叩きつけその場を後にしたらしい…。

 

余談ですが、

10曲中、7曲をBurt Bacharach(曲) + Hal David(詞)のペアで埋めている(そしてプロデュースも)。裏ジャケに映るのもDionne嬢+この2人。ソウルとして聴くと厳しいですが、Easy listening pop として聴けばイケますかね。Carpenters で有名な A-4 "Close to you" もこの2人の曲。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 

 

そして、Dionne を抜き出した数枚後に出てきたのが、これ:

Alexis Korner's All Stars – Blues Incorporated (Just Sunshine Records – JSS-13) US LP 1974年 500円

 

皆さんも見慣れたこのジャケット。Alexis 御大で一番よく目にするアルバムかも(笑)。これがブックオフ2軍メンバーの中から出てきたので、思わず手に取ってしまった。以前国内盤で持ってたんですよ。それは同じデザインの青→赤になったジャケで、それも偶に見かけます。そもそもこれって、1964年にオリジナルがリリースされた late press という代物:

 

Alexis Korner's Blues Incorporated - Red Hot From Alex UK LP 1964年

(⇒1964年にリリースされたUKオリジナルのジャケットとタイトル)

 

それがタイトルとジャケを変えて再発されたものが今回購入したレコ(買ったのはUS盤ですが)。それをヤフオクで”UKオリジナル!”とか言って、この再発を堂々と売るのはどうなんよ?(上の動画音源のレコと内容は同じ)

 

帯なしで持っていた国内盤は20年程前にリリース。買う予定もなかったんですが…

二重に貼られたプライス・タグ。下のステッカーに1,300円と薄っすら見える。800円引きの処分価格である。これまた「プロモ?」とレジに持って行っちゃたんですよ。そしたらブックオフですねぇ、盤は安定の美品だったんですよ。ここでも企業努力+見慣れた国内盤の渦からひょっこり顔を出したUS盤…という、個人的に刺さるものがあり…500円が消失…。

 

以前持っていた国内盤を良く聴きこんでおらず、帰宅後どうだったっけ?と聴いてみれば、Alexis 御大、結構ブルースで頑張ってます。しかもオリジナルから10年後に再発されたUS盤にも拘らず、音が良い!これは嬉しい発見~♪ コレクター学的には意味はないですがね(涙)。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 

 

 

いきなりブックオフで3枚も買えたため、この後不作の予感が頭を過る。3桁3枚の安定の安物買いですがね。ブックオフを後にして、歩いて2分の町田D店へ:

どの店に行っても許可をもらう時「お客さんの顔が写らないように」と念を押される。なのでいないのを見計らっての画。

 

レコ棚がスカスカなのは、レコ好きとして見るに堪えない。でもこの町田D店は、レコが買える買えないを別にしてレコ棚はいつもゴリゴリである(嬉)。自分の過去を顧みても、この店で結構買えた記憶が強い。なので、皆大好き ROCK新入荷コーナーから見て行くのだが…。まぁ棚がギッチギチにレコが入っていても、それが自分の欲しいものか、そして買える価格&コンディションか?というのとは別問題。ここでもやっぱりレコが満遍なくオール・マイティに高くなったなぁ…と嫌気がさしながらのパタパタ・レコ・フリップ(とんとんDROPは止めましょう…トントン・ダメ・絶対!)を繰り返すが、時間だけが無為に過ぎてゆく。安レコだけど初っ端から3枚も買えたから、ここではアカンか…と思っていたら、”K”のコーナーからこれが出た:

 

Alexis Korner ‎– A New Generation Of Blues (BYG 529 002 ) France LP (Stereo) ラミネートF/Bジャケット 1968年 1,600円

 

エッ、また Alexis?? こんな短時間にアレックス御大を2枚も見るとは(笑)。しかもこの値段なら買えるし!ジャケット表側は私の大好きラミネートで、裏側は折り返しのF/B ( Flip Back Cover ) ハァハァ…。でもよく見れば…

 

背が抜けてやんの(F**K!!)

 

盤がきれいなら目を瞑ろう…とレジにて、初心者マークを名札に付けた新人さんに、「検盤プリーズ!! 」と脳内レコード男塾仕込みの勢いで、切れ気味に要請。恐れおののく新人君。スマン、オヤジは興奮しているのだ(ゴメン)。

 

盤を見せてもらうと、EX ( Excellent ) 十分の美品(薄いスレがちょっとありましたが)。背抜け見なかったことにして、これもご購入(満足~)。

 

Alexis 二連発は流石に驚きましたが、帰ってDiscogs を見れば相場的には別になんてことはない。安くも高くもない「だからどうした、相場やないかい?」なお値段(笑)。でも…

 

 

ここでも JAZZ に走らず、BLUESに留まる御大にホッとする(このアルバムは再発盤を持っていたのですが、シールドだったので開封せず)。

 

驚くべきは、目茶音が良い!仏盤オリジナルでこの音の良さよ!目の前に御大が出てくるようだ!最近は音の悪い、『オリジナル盤の看板に偽りあり』的なレコを何枚も掴まされてたので、嬉しい限り。こんなに音の良いレコもあるんですねぇ~(素晴らしい!)。

 

この後SOUL & JAZZ は安定の Nothing to find でそそくさと退店。そしてD店ビルを飛び出し直ぐの場所にあるここへ:

 

レコ屋巡りの掘り師は、大盛りのチャーシュー麵が定番である。

 

松屋が券売機で食券買うのが難しくなった問題のあおりで、もはやラーメン屋一択となったのは当然の成り行き。そもそも『家系』ラーメンは苦手ですが、ここの細麺+塩ならイケる(旨いですよ)。

 

フォローされてる”妖美(よみ)”さんより、「昼食を巡る描写もあって面白い」とのコメントがあったので、またやってみました(不評なら次回より削除します)。

 

この後は、JR横浜線で関内(横浜)へ向かいます(つづく…)。

 

 

 

★動きます★ ↓↓↓