新宿レコ屋⑪ 真夏の路上編 | レコ屋巡りの夜

レコ屋巡りの夜

塩化ビニール(=レコード)中毒患者のトホホな日々を綴りたいと思います。
オリジナルが欲しいけど高いなら諦めます。

渋谷 "ROCK IN TOKYO" D店を後にして一路JR渋谷駅へと向かう。日曜真昼間の渋谷ですよ。最高気温37℃ですよ(ハァハァ…)。多国籍の若者が路上に溢れかえるこの街よ、私は腹が減ったのよ。何か食べたいのよ。でもね、道沿いのラーメン店やらオッサンでも入れそうな店も若いカップルや兄ちゃん&おねぇちゃんがお並びで、とてもじゃないけど入れそうもない(トホホ)。キツイ街だなぁ、休日の渋谷は。

 

困った時の『松屋』へ行きたいところですが、松屋は券売機が一新され、注文するのがやたら難しくなった。普通は”店内 or 持ち帰り”を選択した後商品名(or 写真)が出てくるのが普通ですが、新しくなったタッチパネル式券売機は、そこから訳の分からぬ日本語が連発して選択を迫る。自分の食べたいものがそもそもどこに分類されてるかも分からんし(トホホ)。後ろに人を待たせるのも嫌だしねと。なので以前はお気に入りだった松屋は最近行ってない(というより行きたくても行けない)。

 

時刻は昼の3時ごろだったかなぁ?5店舗周ってレコをじっくり見てたから本当に疲れたし、暑いので一休みしたかったけど渋谷じゃもう無理と判断。結局コンビニでおにぎり買って、人だらけの渋谷交差点を抜けJRで一路レコード・タウン新宿へ。

 

 

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10分ほどJR山手線に乗って、サクッと到着レコ屋タウン・新宿。レコ&CD帝国主義を貫くD店が根城を築く新宿東口。もはやこの一帯に何店舗D店が存在しているのか、私は知らない(今D店のHP見ましたが、数える気にもならない…笑)。でも大抵自分が行くのは3~4店舗である。今回は渋谷を回った後なので東口駅前アルタのH店をパス(私の財政事情では、良いもの見つかっても何も買えまい)。サクッとその通り沿いにあるD店中古センターへ向かう。

 

日曜日は、紀伊国屋書店前の道が歩行者天国になってるのか。日曜に来るなんて久しぶりだから、少し驚いた。渋谷と同じく新宿の日曜真昼間は人だらけですが、年齢高めの人達が結構いて少し落ち着きを取り戻す。

 

そして、JR東口を出て足早に歩き5分後には一件目に到着:

2年位前まで、左隣の紀伊国屋書店のビルに入っていたD店新宿中古センター。新たに建設された新築ビルの3Fへ移動…

 

この3Fワンフロアで、『ベスト・アルバム・ストア』、『クラッシック館』、『アクセサリー&収納ストア』&『中古センター』の4つに分かれてる。一番奥がその中古センター。その賃料を考えるだけで恐ろしい。

 

さぁさぁさぁ、そんな能書きはもう良いんですよ。チャッチャとレコを見て行かないとねと、早速皆大好き『新入荷コーナー』に被りつく。

 

許可を頂き撮影中:プライベート盤=ブートレグの大放出!リンク先の digkamochanさんが見たら大喜びしそうだ(笑)。

 

因みに、ブートレグとは?

 

ブート=Boot (長靴…日本ではブーツと複数形で呼びますかね)

レグ=Leg(足)

 

つまり、『ブートレグ=長靴を履いた足』という意味。1920~33年まで米国では禁酒法にて酒の販売製造が禁止されたため、酒の密造が横行したんですな。その彼らが長靴を履いて密造してたので、この名が付いたと。つまり違法なんですよ、ブートって。なので海外ではこんなに大ぴらにブートを店で販売するってあり得ない事なんですが、どういうわけか日本ではOK?になってる(事実上の黙認だろうか?)。”プライベート盤”って多分日本人が苦肉の策で名付けたんじゃなかろうか?

 

以前は Jimmy Page ( Led Zeppelin ) が度々西新宿のブートCD店にブートを買いに来る…という伝説を聞いたことがあるけど、本当なんだろうか?(笑)。海外レコ屋のサイトやレコ屋巡りの動画を見ても、これらブートの類は一切出てこないですね。

 

 

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ブートは華麗にスルーして 『ROCK新入荷コーナー』から順にレコを一枚一枚捲り始める。でもね…渋谷から新宿に移ったからって、レコの値段なんて変わらないのよ。しかも渋谷で2件周ったD店の支店だし。価格の元になってるデータベースも一緒だろうし。在庫が違うだけで値段は同一レベル…辛いぜ、マジで(涙)。

 

「D店がレコ屋の中で一番好きだ!」と思ってらっしゃる方は多いかもしれませんが、今の私は…地方にあると聞く、レア廃盤が3桁でゴロゴロ見つかるユートピア・レコ屋『ガンダーラ』or 『シャングリラ』を目指して旅に出たい気分。あああぁ、どこに行っても逃れられないハイパー・プライス。円安ウハウハ外国人に買われたくないのは分かるけど、ここは日本やで?ワシ等日本人が買えなくなって、どうすりゃエエのよ?

 

暗澹たる気持ちでペラペラとレコ・フリップを繰り返して、ピタっと指が止まった!

 

それがこれ:

Bonnie Koloc – S/T (Ovation Records YX - 8003) 国内盤 LP 見開きジャケット、帯、インサート付き 1973年 1,100円

 

ボニー・コロック!オリジナル盤は時々同じような値段で見てたけど、帯付き⁉ マジか?しかも…1,100円って(笑)。この方、1971年からコンスタントにアルバムをリリースされてきた米国女性SSW。自分の知る限り、売れた形跡はない(涙)。たまたま『悲しきジャズマン』と題された彼女の1st アルバムを、帯にやられてフラフラと購入。それが10年程前の話。その1st アルバムが結構良かったんですよ。あ~すっかり忘れてたな。そしてこれが彼女の3rd アルバム。

 

もう極力『ヘヴィー・サイケ&ブルース・ロック以外は買わない』方針だったのを思い出して、一度は棚に戻す。しかし、一度目撃してしまった帯に目をやられ…しかも1,100円という昨今では考えられない捨て値じゃないか?円安ウハウハ外国人買い付け掘り師達も、誰に相手にしないからこの値段と(爆笑!)。しかも『新入荷コーナー』ではなく普通に棚に残ってるってことは、この値段でも日本人客は誰も買おうとしないということか。酷い!酷いぞ皆!名盤なんだよこれは(多分…聴いたことないけど)!見逃したら夢に出て来そうだと結局この店ではこれ1枚をご購入。

 

家に帰ってじっくり見てみれば、ジャケットは結構汚れてるなぁ…仕方ないか。今もそうだけど、50年前の当時も誰も彼女のことを知らず売れなかったんでしょうねぇ。普通こういう激しく売れなかったレコってプロモ盤の方が見つかって、レギュラー盤(プロモじゃない通常販売のレコ)の方が見つからないんですが、これはプロモじゃない。盤は検盤したとき見たけど、ピッカピカ。当時買った人もロクに聴いてないのかよ(涙)。

 

70年代後半辺りから、日本ではレコを録音できるカセット・デッキが普及し始め、一度針を落として後はテープで聴く…というのが流行り出す。なのでこの頃のレコは極美品が多いんですが、1973年リリースのこのアルバムが極美盤とは(涙)。

 


全10曲中、6曲が彼女作。女性SSWらしい静かな佳曲多し。良いアルバムだと思いますよ、外国人買い付け部隊の方達よ。

 

 

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新築ビルを豪華なエントランスを抜けて飛び出せば、もうすっかり日が陰ってきた。相変わらず目の前の歩行者天国は人だらけだけど、そんなもんに構ってられない。何だかんだで4枚も買えたよ、今日は。

 

流石に疲れて来たな…灼熱の渋谷~新宿を周ってレコードばかり掘り捲ってるわけだし。本当に他に好きな事はないんですか、貴方は(ない!)。人混みを縫いながら次なるお店…もう時間的にもこの辺りが終点間際なD店路面店に突入する(正式名称は知らない)。

 

いつ来ても客が多いんですよ、この路面店。他のD店と違って、階段やエレベーターを使わずサクッと入店できますしね。因みにこの道を挟んだ右隣りが、件の大塚家具でした。今も変わらずそのまま営業なのかな?そんな事より、ヤッパリレコだよ、レコ!

 

さぁさぁさぁ!疲れたけど、脳内レコード男塾・江田島平八塾長に一喝され再び猛然とレコ・フリップ(=レコを一枚一枚パタパタするやつ)を開始する。日曜夕方の店内は、オッサン&中年&オヤジのスーパー・コングロマリットでコテコテでしたね(笑)。そこへまた1人のオッサンが加わったので濃縮度UPでしたが、だからと言ってレコ掘りには何ら関係はない。この店って和物の入荷がまた多いんですよ。毎週土曜日に1000枚づつ新入荷祭りをやってるのか、各棚の前面に30枚ほど新入荷レコがジャンル・レスに叩き込まれてる。ウ~…郷ひろみに、おニャン子か。疲れているところにこの攻撃はキツイなぁ…。

 

そんなレコ・フリップを脳内停止状態で続けてハタと手が止まる。ん、これは?

C.C.S. – The Best Band In The Land (RAK SRAK 504) UK LP 1973年 800円

 

C.C.S. (Collective Consciousness Society… Alexis Korner とデンマーク・ブルース・ロック・マン、Peter Thorup によって結成されたUKジャズ・ロック・バンド)?エッ、こんなアルバムあったっけ?しかもジャケ裏見たら、どうもUKオリジナルっぽいし。何じゃこれ?

 

Alexis Korner ってUKブルース・ロックの父…と呼ばれてますが、根っこにJAZZがあるんですよ、この人。なので1960年代のソロにはジャズっぽいアルバムがあるし、UKからブルース・ブームが去った1970年からジャズに傾倒したのは必然だったのかも。

 

このバンドって1st & 2nd はプレス国を問わず結構レコ屋で見つかるんですよ。しかも1000円程で。なのでよく見てるはずですが、何じゃこれは?その1st & 2nd の編集盤か?タイトルに "BEST" って入ってるし(汗)。一応レジにて恒例の検盤をさせて頂くと、盤はもうピッカピカ!ああぁ、イカン!こういう美品を見ると疲れ果てたオッサンは拒否できないのよ…と結局お持ち帰り。あぁ、またやってもうた。特別に彼らの大所帯ジャズ・ロックが好きなわけじゃないのに。

 

家に帰って調べれば、どうやら自分の知らない3rdオリジナル・アルバムにして最終作らしい。編集盤じゃなかったか(ホッ)。なぜ今の今まで知らなかったのか?というと、1st & 2nd と違い、このアルバムだけ国内盤もUS盤も出てなかったから。

 


ウ~ン、今更なUKブラス・ロック・サウンド。上は Kinks - Lola のカバー。特別買う必要もなかったかなぁ?でも買っちゃったし。悪くはないのですが(…)。

 

 

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もう流石に疲れましたよ。もう帰ろう!特別な1枚は今日も見つからなかったけど、まぁレコ屋巡りなんてこんなもんよ。とレジに向おうとしたら、一番右端のレジの前に100円レコードエサ箱が4つも並んでいるのを発見!ヒャッハ~~~!と急に元気になってレコード・フリップを再開!野口五郎、にしきのあきら、大正琴の調べ等々、「脳内よ、一切思考するな」と無言の指令が伝わる内容(涙)。

 

すると途中で、これまたよく見る1枚を抜き出す:

Bette Midler – The Divine Miss M (Atlantic SD 7238) Australia LP 1972年 100円

 

よく見るジャケットですが、見た瞬間「ジャケがラミネートだ!」と気付く。私はシュリンクも好きですが、同じくらいラミネなジャケも大好物。既に彼女のこのアルバムも国内盤で持ってましたが、これは迷わず抱えましたよ。100円と言えども検盤したら、盤は美品でしたし。

 

Bette Midler と言えば、やっぱり1979年の Janis Joplin をモデルにした映画『Rose』でしょう。主演にして主題歌『Rose』も大ヒット。ジャニス役を十二分に果たした上、ジャニスに全く引けを取らないあの歌。彼女はこれまでグラミー賞を3回受賞。女優としてもエミー賞他多数受賞。その彼女の1st アルバム。彼女自身は曲を書いてませんが、これも良いアルバム。100円で豪州盤オリジナルで盤美品なら文句なしである。

 

カーペンタースの方が有名ですかね。Bonnie Bramlett & Leon Russell 作の名曲。

 

ベット・ミドラーと言えば、やっぱりローズでしょう。Amanda McBroom という女性SSWが書いた名曲。

 

とまぁ、今回は以上でした。疲れましたよ。実はこの後、近くのD店ロックストア5F店にも行ったんですが、値段が高すぎて全てスルー。今思えば、この路面店上階のSOUL & JAZZ 店に行けばよかったか?疲れてる&金もないのに、何をやってるのでしょう…。やっぱりヤフオクでレア盤一発狙いの方が良かったか?否、見たこともない盤に出会う short trip も良いもんです(つづく…)。

 

 

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