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ショコラのブログ

ブログやら語り。

パークではフローズンファンタジーが開催され、オンクラやオンアイス、地上波やディズニーチャンネルでの特別放送と、アナ雪の公式供給が豊富なので、ちょっと作品語りします。
公開されて3年も経つので、ネタバレなんか一切配慮しないのであしからず。





 
ちなみにアナ雪は個人的に、ディズニー映画の中でも特に好きな作品で、マイベスト5に確実に入ります。
以下、書きやすいように項目ごとに分けます。個人的な解釈や持論です。
 
1.ディズニー初のダブルヒロイン
 この姉妹はタイプも苦悩も対照的。
 エルサは初の成人したプリンセス。ディズニープリンセスの枠扱いされる事が多いですが、物語中、彼女は王女から女王に即位するため、成人する事が必要です。
彼女には生まれつき氷の魔法が備わっており、幼いうちは魔法を楽しく使って、アナとも仲良くしてきましたが、あの夜の事故で初めて、魔法は彼女の中で楽しいものではなく危険なものとなり、トラウマになります。
両親によってアナとも引き離され、アナの記憶が消えている事で避ける理由を話す事もできない閉鎖的な環境の中で、エルサの魔法は強さを増していきます。
どんな思いで13年もの間、アナを拒絶し続けてきたか、エルサの孤独と苦悩は計り知れないものがあります。
わずか8歳の頃から、無邪気に話しかけてくる妹を扉越しに拒絶し続け、誕生日も一緒に祝えない。両親が亡くなった時ですら悲しみを分かち合うどころか、葬式に出る事すらできない。
拒絶されるアナが悲しむのも承知で、全てはアナを傷つけないためだと信じて、孤独と自身への恐怖と抑圧の中でエルサは生きてきたわけです。
 一方、孤独の中で育ってきたのはアナも同じです。
魔法に関する記憶を消されているため、5歳のアナには何故エルサが急に自分を拒絶して会ってもくれなくなったのかが分かりません。
姉は会ってくれない、両親も会わせてくれない、国が閉鎖されてるから他に友人や知人もいない。退屈で孤独な日々。
両親が亡くなった時ですらエルサは会ってくれない、姉が葬式に出ない事を周りの人達に尋ねられてもアナ自身も分からない、たった1人の肉親となってしまったのに理由も話してもらえず拒絶され続けたアナ。
 同じ城の中という近いところにずっといるのに、会う事も話す事もできない姉妹は、それぞれの苦悩を抱えて生きてきたのです。
 
2.「ありのままで」と「生まれてはじめて」
 エルサの楽曲、「Let it go ありのままで」は、彼女の抑圧からの解放願望と自由、原語版の歌詞だと自棄混じりな印象もあります。
13年もの長い間、両親からも自身でも、魔法について誰にも見せないように、抑えるようにと抑圧されてきたエルサ。
それが戴冠式の日に、大勢の前でバレてしまうという事態になり、彼女を悪い魔女か化け物のように罵倒する者までいるという恐れていた事態になります。
でも、これ以上の抑圧はもう限界であったように思えます。
恐れていた事が起こり、知られてしまった。でもこれで自由になれる。1人で王国から離れれば誰も傷つけないで済む。これでいいの、というエルサの歌。
歌詞の中の「Be the good girl, you always have to be.」「That perfect girl is gone.」の部分からは、魔法以外でもエルサの生育環境が伺えます。
王位継承者として、幼い頃から常に良い子でいなければならない立場だったのでしょう。
でもエルサだって、女王である前に1人の人間。自分は王国や皆にとって危険でしかないのなら、孤独でも自由に生きる事を望む。
「ありのまま」という普通で当たり前の事が困難だったからこそ、自由であろうとする。
 長年、恐れてきた事態が起きたというのに、そこから自身の生き方を見つめ直そうとする、これはエルサの強い意志を感じます。
 
 アナの楽曲「生まれてはじめて」は、アナの恋への憧れと希望に満ちた楽曲。
でもそこには、長年の孤独から来る切なる願いでもあります。
 「A chance to change my lonely world」とあるように、アナにとって、戴冠式で大勢の人々が来るという事は、13年もの孤独で閉鎖的な彼女の世界を変えるためのたった1日のチャンスなのです。
 この楽曲には、年頃の若い娘らしい恋への憧れと、エルサをはじめとする他者に受け入れてほしいという願望が込められています。
 この後、アナは出会ったばかりのハンスと婚約してしまい、エルサからは反対され、クリストフからも呆れられてしまいますが、アナにしてみれば、ハンスは長年もの孤独の中でやっと自分を受け入れてくれそうな相手で、この出会いを逃せば明日からは再び国は閉鎖されてしまう。孤独の限界であるアナが出会ったばかりの相手のプロポーズを受け入れてしまうのも、彼女の身になって考えると自然な事のように思えます。
 
3、恐怖が敵になる。
 物語の軸となるエルサの魔法。これは、単に強くなりすぎて、彼女自身にもコントロールができないというわけではありません。
幼い頃の彼女は、ちょっとした事で事故が起きたとはいえ、魔法を上手く使ってアナと楽しく遊んでいたし、大人になった今でも魔法によって見事な氷の城を作り上げているほどです。
 彼女が恐れもなく、自由に使った魔法は本当に美しいものになります。
一方で、エルサは意図せずに夏だった王国を凍てつく冬に変えてしまい、元に戻す事ができなくなってしまいます。
 王国への責任をよく分かっていて、誰よりも他者を傷つける事を恐れるからこそ、自身への恐怖によって魔法が制御不能になるし、取り乱さないように落ち着こうとすればするほど心が乱れていきます。
 エルサの魔法は強いからコントロールできないのではなく、恐怖によってコントロールを失うのであり、これは幼い頃の事故がトラウマとなっているせいでもあります。
 また、自身の恐怖だけでなく、他人からの恐怖が彼女の敵になります。
それまでは表向きは丁寧に対応していたのに、魔法が露呈した途端に態度を変える侯爵にとって、その瞬間にエルサは一国の女王から危険な化け物という存在になってしまったのでしょう。だから、たかが他国の侯爵風情の身で彼女を殺させようとする暴挙が図れるのです。
他にも突然の冬に不安そうな国民達。不安がるのは当然ですが、彼らはエルサがどんな思いで生きてきたのかも知らないし、彼女が混乱して逃げ出してしまったので知る由もありません。
 知らないものは不安、恐ろしいものは問答無用で排除しようとする人間の闇。
自身の恐怖、他人からの恐怖、まさにトロールの警告通り、恐怖が敵になるのです。
 
 
 
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