晴れ。8時ホテルキング発。なんと創業100年の老舗ホテルらしい。

 ホテルの近くに出水麓武家屋敷群があり見学。武家屋敷の近くには幼稚園や新しい家も混ざっているが整然とした石垣に、よく手入れされた生垣。薩摩藩の最前線基地である家並みは凛としたものが感じられた。 ちなみに麓(ふもと)とは外城を守る郷士達の住居兼陣地である武家屋敷集落を指す。

 見学可能な税所邸に入らせていただく。

 庭はきれいに手入れされており、室内には刀や鎧がかざられていた。外に出ると地元の高齢の方々が清掃活動をされていた。挨拶してくれたので、「お手入れ、お疲れ様です。」というと「ここは国の重要伝統的建造物群保存地区だからね。」と誇らしげだった。

 今日で鹿児島県を離れるので、家にお土産を贈ろうと出水駅構内にある飛来里へ。お土産を選んでレジに持って行くと店員さんが目ざとく賞味期限が比較的短いことに気づき取り替えていただいた。親切である。写真は駅前の鶴のオブジェと肥薩おれんじ鉄道の車両である。

 国道3号線にしては海沿いの道が続く、獅子島だろうか、その先には天草があるはずだ。

 軽い山越えがあって熊本県に突入。4月11日に鹿子島県入りして以来の県境越えである。

 山を降りてゆく途中の漁港。かつて水俣病の原因となったメチル水銀で汚染された海とは思えない。

 水俣病資料館はエコパーク水俣の奥の丘の上にある。館内に入ると記帳するようになっていたが、お弁当屋さんの配達で職員の方が受け取りをしていたので、少し待って記帳。館内には中学生達が社会見学に来ていた。今の彼らには遠い過去の歴史でしかないのかもしれない。なにしろ水俣病が問題になったのは筆者が小学生の頃だったからもう半世紀も前のことである。その当時、放送されていたゲゲゲの鬼太郎は、人間によって汚染された住環境に怒った妖怪があばれるといった話が多かったように記憶している。また、個人的経験としては海の汚染で遊泳できる海水浴場がどんどん減って、ずいぶん遠くまで行くようになったことだろうか。

 さて、展示内容は、主に水俣病の発生と被害についてだが、過去の問題ではなく、いまなお進行形であると感じさせられた。

 隣には熊本県環境センターがあり、地球温暖化に関する展示が多く見られた。

 手入れの行き届いた芝生の先には海。さらに先には天草。

 水俣病資料館と同じくエコパークみなまたの中にある道の駅みなまたは、おしゃれでシックな建物。

 隣のバラ園では、バラが咲き始めていた。もうすこし、後だったらきっと見事だったであろう。

 水俣駅前には、水俣病の原因となったメチル水銀を排出したチッソ水俣工場の正門があった。

 斬新なデザインの新水俣駅。建築士の渡辺誠さんが手がけたとのことだが、SFチックで宇宙船やモビルスーツが出てきそうな外観である。

 津奈木町から海沿いに芦北町に入る予定が道をロストして、そのまま3号線で山越することになった。だらだらとした登り道が続く。途中、孝女千代の碑の標識。行ってみると広場があり、奥の方にいくつかの石碑があった。そのうちの一つに孝女千代之碑と彫られていた。ここの石碑を千代塚と呼ぶらしく津奈木町指定文化財とのことである。

 孝女千代は約三百年前の人物で母を早くに亡くし、病気がちの父や祖父母をいたわりながら懸命に働いた。その孝行ぶりが殿様の知るところとなり、77歳で亡くなるまで、毎年米10俵の褒美をたまわった。この話は津奈木町のHPに童話として掲載されている。

 石碑から広場をはさんで反対側に花が手向けられている慰霊碑。寂しい場所だが守り続けている人がいるようだ。

 長い下り坂を下ると、集落が見えてきた。芦北町である。湯浦川に沿って海へ。キロポストによると門司まで263km。芦北町が今日の宿泊地だが、まだ14時半。思いのほかスムーズな山越えだった。

 湯浦川の河口域は干潟が広がっていた。遠浅のようだ。

 かっこいい橋が架かっていた、芦北大橋である。

 観光うたせ船の標識があったので漁港の方に行ってみた。芦北漁協のゲートには観光うたせ船と書かれているが、肝心のうたせ船の姿がない。

 漁港から宿泊先に戻る途中、潮がひいた船だまりに帆のないうたせ船が休んでいた。後で調べたら予約制のようで、いつもある訳ではないようだ。うたせ船は底引き網を帆船で引いていく漁法で、主にクルマエビ、カニ、シャコ等が捕れる。

 今日の宿泊はホテルAZ芦北店、16時には着いてしまった。適当な自転車置き場がないので、宿泊する部屋に入れてよいとのこと。夕食は近くのROCKY芦北店でエビたっぷり握り寿司とサラダ巻き助六それにポテトサラダ。お酒も少々。

 

 ホテルAZは筆者の知る限り観光地でもなく繁華街でもない場所にある。これで経営できるのか心配していたら、19時を過ぎるころには駐車場は満杯状態。お客さんは主にガテン系の方々。工事やメンテナンス、中には営業の人も車で用務地を回るからホテルの立地は遠くなければそれでよいのだろう。現代版商人宿と言うべきか、いずれにしても見事な繁盛ぶりである。

 

本日の支出は宿泊代(朝食付き)5,280円(2025年6,380円に値上がり)、食費等692円 

合計5,972円 972円の赤字