青森県の田舎館村中央公民館から封書が届いた。中には、第10回田舎館村田んぼアート短文芸コンテストに応募した俳句の表彰状が収められていた。

 田舎館村では、田んぼをキャンバスに見立て、色の異なる稲を絵の具代わりに巨大な絵を描く「田んぼアート」を平成5年から開催している。最初は3色の稲だったが、年々技術が向上し今では7色の稲を使いこなし繊細で緻密なアートを作り上げられるようになった。

 このイベントに付随して川柳の部、俳句の部、短歌の部からなる短文芸コンテストも開催されている。各部に最優秀賞(各部門1点)、優秀賞(各部門3点)、入選(各部門10点)があり、全部門に応募したが俳句の部のみ、入選をいただいた。ちなみに事前連絡で賞品として米1キロもあったが、送料が自己負担で高額になるためご辞退させていただいた。

 入選した俳句は、

「いち姫の花笠ゆれて田植え歌」

同封されていた入選作品集に掲載されている。

 いち姫とは、青森県田舎館村とゆかりのある戦国時代の武将、津軽和徳城主、小山内讃岐の娘「千徳於市」こと、市姫をモチーフにしたキャラクターとのこと。今回の田んぼアートのテーマの一つになっている。

 歴史上の市姫は戦に破れ家族を失い、嫁いだ先の田舎舘城最後の城主となった千徳掃部政武もわずか三年という短い間に合戦で亡くなった。戦が終わった後、合戦で亡くなった人々を供養する大法要の際に、夫の供養のための焼香をすませると、一巻の文を読み上げ、自ら命を絶ったと言われる悲しい運命を生きた女性である。

 そんな彼女に、できることならば、争いもなく平和で美しい自然が残るこの青森の「今の」大地を、心穏やかな気持ちで歩いてほしい。今度こそ、幸せになってほしい。そんな気持ちで、この青森、田舎館村を紹介するもう一人のキャラクターとして誕生したのがいち姫の生まれ変わりの女の子「中辻いちこ」とのこと。

 著作権に抵触する可能性があるので画像は紹介できないが、可愛らしいアニメキャラ風である。また、オンラインショップでいち姫ミニフィギアやアクリルキーホルダー等も販売しているので、ご興味のある方はご覧になっていただきたい。

 

 最後に田舎館村田んぼアート短文芸コンテスト実行委員会の皆様、選者の先生方、本当にありがとうございました。