「どうして、田上さんが超能力者の取材なんてしたんすか?」
「昔、ここじゃない違う部署に居たんだよ。それでね」
「へぇ~。そうなんすか」
 田上氏は、新卒で鳴り物入りで報道部に入社したと噂では聞いていたのだが、何故かこの地域の小さな話題のみのこの部署に居るのだ。田上氏も自らの過去を話そうとしない為、誰もその理由を知らない。
「この写真は、僕にとっては、あの人の形見みたいなもんなんだよ。報道の世界に身を置く人間にとっては、戒めのようなもんだな」
 そう言った後の田上氏は、何とも言えぬ寂しそうな悲しそうな表情をしているように私には見えた。






 その晩の事だった。家でいつものように、寅吉を相手に晩酌をしていると、来客を告げるチャイムが鳴った。何気なく玄関のドアを開けるとそこには、先日取材した伊集院家のご令嬢の伊集院まどかが居た。
「こんばんは」
「こん、ばんは…」
「突然、夜分遅くに失礼します。お電話の一つでも差し上げるべきだったんですが、会社にお電話したんですが、もういらっしゃらなかったようでしたので…」
「はぁ…」
 まどかの手には、大きなバスケットのような、籐籠のキャリーケースがあった。
「あっ。良かったら上がりますか?」
「えっ?」
「あっ、いやっ。こんな玄関先じゃアレかと、寒いだろうし…」
「えっ…」
「あっ、いや別に変な意味じゃなくて…」
 こんな時間に、女子大生がこんな独身中年男の家に来たのだ、それは、身構えるだろう。
「それでは、お言葉に甘えてお邪魔させて頂きます」
 まどかさんはそう言うと、私の部屋へと上がった。
「いきなり不躾で申し訳ないのですが、先日の取材の事なのですが」






つづく