【スーパーヒーロー】 7. ポフン | 日々コギ精進(仮)

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レオ…
ティーダ…
いつまでも君達を愛していますよ…

《ポフン》


なんやかんやあってコタツ優先使用権付き完全室内犬となったレオ。夜は私の部屋で一緒に寝ていた。これもまた「最初は彼の体力が完全回復するまでの間は」という話だったのだがいつの間にやら日常的にってパターンだった。


日中は誰かどうかが彼を見守れるが、夜はそうもいかない。もちろん、本格的な眠りに入ってしまったら異変があっても直ぐには気づくことなどなかなか出来はしないが、それでも自分の手の届く範囲に、目を開いたら姿が見えるくらい近くに彼を置いておきたいと思った。私が父にそれを願い出たところ、父はそれを特に何を言う訳でもなく許してくれた。


今では「人とワンコが寄り添って寝ることは主従関係の構築・維持に悪影響があるので好ましくない」という意見があることは理解している。実際には彼は一緒に寝ていない父とは主従関係になり、一緒に寝ていた私とは兄弟みたいな、それでいて上下を争うライバルみたいな関係になった。だからその意見は正しいのだろうなと思う。でも彼と一緒に寝たことは私個人にとってだけは正しかったと思っている。もう何十年も経った今でも彼との日々は楽しかったと思える。それが私にとってのただひとつの答えで、それが正解だ。誰が何と言おうとも。


彼と一緒に寝るようになってからしばらくすると、おそらくコタツの温かさを彼が知ったあとだと思うが、彼は布団の中で寝ることも覚えた。


最初は身体と掛け布団の間の隙間に鼻面を突っ込んできた。コタツに強引に入る時のように。「えー!? ふとんの中はコタツほど温かくはないぞ?」とは思ったが、面白半分で彼を迎え入れてみた。右腕を上げて掛け布団の隙間を大きくして。すると彼はゆっくりとその中に入り、私の右腹の真横辺りでグルグルと2回くらい回ったあと、ストンと腰を落として、次に上半身を落として眠る体勢になった。なんだかとても嬉しく思ったことは今でも明確に記憶出来ている。それを思い出すと心臓の辺りがキュッとして少し熱くなる。


布団の中の彼が息が出来るようにと肩と布団の間を広めにする。当然肩が寒くなる。彼が少し体勢を変える度に私も少し目を覚ますことになる。彼に寝るスペースを譲ると私のスペースは必然的に減る。時には横幅1/2以上が彼のものになった。何度も何度も出入りすることもあった。深く眠れない。冬の夜に彼と一緒の布団に寝るということはちょっとした修行みたいなものだった。


あ。彼は温かかったな。NBA選手がバスケットボールを腰横に当てながら掌でボールを持って立つ写真をよく見るが、あんな感じで彼の身体を腕で抱えるような、そんな抱きしめ方。腕だけしか温かくなかったけど。それでも私には”その温かさ”だけで十分だった。ちょっとした修行みたいなことも嬉しく楽しく思えた。あ。彼を抱えた腕の先の手の平が丁度彼の顔に触れた時にはペロペロされたこともあったっけな。それを思い出すとやっぱり心臓の辺りがキュッとして少し熱くなる。


彼はひとりでお留守番をしている時にコタツの中で過ごすことがあり、帰宅した時にコタツの中から登場するなんてことがしばしばあった。「コタツは入り口の布団さえ突破すればいいだけだからひとりでもOK」と学習したのだろうなと思う。


でも全体が低く閉ざされている布団の中への単独強行突入はそうはいかない。だが彼はいつからか私の右肩あたりに「ポフン」とお手をするようになった。コタツに入ろうとして邪魔されるイジワルを受けた時に覚えた技。その技を使えば私が布団への入り口を開けてくれると思いついたのだろう。賢い子だった。


私が本当に本当に深く眠っていた時はスルーしたこともあったとは思う。でも何度か「ポフン」を経験してるうちにしっかり眠っていても「ん!?」と起きて布団への入り口を開けられるようになった。そして直ぐに眠りにつけるようにもなった。「ポフン」する彼が可愛くて笑っちゃうから、嬉しく楽しいから、私もそれが出来たのだと思う。


つづく


※丸くなって眠るレオ

 布団の中ではこんな感じで丸くなってました…(//∇//)