昔、ある人の依頼で前科のある男の面倒を見たことがある。
刑務所に入っていた期間が相当あり、シャバは久しぶりだからか妙に落ち着きが無い。
そしてなぜか俺を「先生」と呼ぶ。
あまりにも頻繁に「先生」と呼ぶのでやんわり注意したら、刑務所時代の癖だと白状した。
「すみません、刑務官のことを先生と呼ぶのが習わしだったもので。。。」
俺は刑務官ではない。部屋の貸主だ。
この男が実社会にうまく復帰できることを暗に願った。
ある政治家がこんなことを言っていた。
彼はある容疑で有罪判決を受け某刑務所に収監されていた。
そこに収監され刑に服する60代70代の男性がみんな判で押したように20代の若い刑務官を「先生」と呼んで顔色を伺う。
目的はただ一つ。
「刑務官の自分に対する印象を良くして模範囚として認定され早く刑務所から出ること」
日頃の受刑態度の良し悪しが「仮釈放」の獲得に大きな影響を与える。。。
早く出たければ印象を良くすることだそうだ。
自分の孫ぐらいの年齢の若者に60代70代の年寄りが「先生」と呼んでへつらう。。。。
この政治家、そこに不純なものを感じ取っていた。。。
この制度が4月から改正されることとなった。
法務省が動いたのだ。
刑務所の中は世間と隔離されさまざまな予期せぬことが起こりやすい。
刑務官を「先生」と呼ばせる歪んだ関係性が受刑者への人権侵害を生む温床となっている。
そう顧慮されてのことだそうだ。
確かに、刑務官による受刑者への違法な「処罰」は何度も摘発されてきた経緯がある。
名古屋なんてひどいもんでしょ。
思い出した。。。
昔、知人の女性が医師の男性と合コンしたら開催前に幹事から「お達し」が来たそうだ。
”合コンの間は必ず男性陣に対しては〇〇先生、と呼ぶように”
彼女はこれを聞いて白けてしまい、合コン自体も男たちの自慢話のオンパレードで地獄のつまらなさだったとさ。。。
今どき、「先生」なんて呼び名、「昭和の時代の奇習」にしか感じられない。。。
政治家ですらそう感じているぐらいだしね。
大阪府議会では議員自らその是正に取り組もうとする動きすらある。
「先生」と呼ばれる側の「自分が立場が上」という思い上がり。。。
「先生」と呼ぶ側の「ストレス」や「反感」「打算」。。。。。
適性かつ公正な関係の構築に「先生」という呼称は障害となる、。。。
モノを教える、教わると言う関係性が前提として存在するのでもなければ、「先生」は適性を欠く呼び名だ。
いまだにどこかの業界では「○○先生」と「先生」で呼び合っている。
しかし、その人たち、多くはまともな教育すら受けていない低学歴低職歴の曲学阿世の徒。
何を根拠に自分で「先生」を名乗っているのか?
結婚を1回しただけのことでしょうが?
まあいい、。。
ただし、「先生」と呼び合うことに対する世間の視線は年々厳しくなっていることを自覚願いたい。
法務省ですらその是正に動いているのは理由があるから。
いつまでも「先生」とか呼び合っていると「何?この人たち?」と周囲から疑念と軽侮の視線を浴びかねない。
結婚相談所のカウンセラーの人達、
あなた方のことですよ。。。
冒頭の言葉は収監経験を持つ件の政治家が「ご自身も○○先生と呼ばれていますよね」と新聞記者から指摘を受けて答えたもの。
「先生と呼ばれていい気になる程俺はバカではない」ってことだそうだ。
100%納得だね。
追記:
「先生」という呼称はやはり根底に「敬意」が無いと成立しない。
空虚な響きだけが漂うこととなる。
そんななか、教師でもないのに多くの人から「先生」と呼ばれ敬愛される男がいる。
今永昇太
プロ野球選手として長年横浜で活躍したこの男は、ファンから「今永先生」と呼ばれて久しい。
その理由は彼のご両親が学校の先生だからではない。
言動や風貌、そして仕事ぶり。。。。、どれをとっても素晴らしいから。
今年からアメリカのシカゴカブスに高額の契約を獲得し移籍したが、その際の言葉が泣けてくる。
「自分の生き方を変えるのは今しかない、というのが最大の理由」
「僕の挑戦を見て同じような境遇の人やふさぎ込んでいる人が、
”今永が頑張っているなら私もちょっと頑張ってみよう、”
と思われるような選手になりたい」
とのことだそうだ。
ちなみに彼は最も高額の契約を提示した球団ではなく、前から自分に関心を持ってくれたシカゴカブスに決めている。
今永とはこういう男であり、だからこそ誰からともなく「今永先生」と敬意をこめたあだ名が着けられたのだ。
その今永がデビュー戦を見事好成績で勝利を挙げた
6回を投げ9奪三振無失点、。。。非の打ち所がない。
頑張れ、「今永先生」
ちなみに専属通訳はつけていない。
「そのほうが本気が伝わるから」だそうだ。
先生らしいね。