落語協会百年に大阪から桂文枝を招いて鈴本演芸場のトリを10日間務めてもらった興行も千穐楽。列に並べば豪華な顔ぶれが聴けるという嬉しい日々であった。といっても私は今日で3回目にすぎないが。

結局三三の「筍」を先月から5回連続で聴いている。昨日は「味噌豆」だったらしいので巡り合わせの問題か。ただし桃花は2回目の「味噌豆」だったし、権太楼も2度目の「代書屋」ではあった。こうなると10日間の全ての演者の演目を知りたくなる。文枝は毎日違う演目に違いないので、10日通ったとしても楽しんだとは思う。アサダ二世、太神楽、ロケット団、林家ペーはほぼ内容同じで、馬風も今日の大谷情報以外は2度目。寄席とはこういうものとは重々承知だが、いろんなネタを聴きたいのが正直なところ。「内容知っていても笑うのが文化」とかつて権太楼が言ってたのを思い出した。

今日は前座に林家さく平が「金明竹」彼はたい平の息子。文枝の前に関西弁使ってもいいのか、と自問したのが気が利いてた。続いて女性落語家の金原亭安寿が出身の沖縄を活かして改作した「金明竹」もはや品物が違うので金明竹とは呼べないが本当に何言ってるか分からず面白かった。きく麿が長崎弁でやったときは腹が千切れるほど笑ったが、それは私が長崎弁わかるからだ。沖縄の人がいたら同じ思いだったろう。橘之助は円歌入門時に女性落語家はいなかったと言ってた。今は大勢いるしみんな可愛いと。小円歌と呼ばれてたころからこの人が高座に上がると、粋で綺麗で芸がよくてうっとりしたものだ。男社会で頑張ってくれた成果で、いい具合に演芸界を変えている。

正蔵は「皿屋敷」、小朝は「扇の的」、文枝のバーター(本人談)桂三語が一之輔・彦いちの代演で笑わせ、トリの文枝は「妻の旅行」これは有名なネタではあるが、最後を飾るに相応しい爆笑の連続。別に住む息子に母親つまり妻の愚痴を並べ立てるドストレートな退職ヒマ老人の悲哀。奥さんの強烈な個性が、男女問わず誰にも思い当たるふしがあるのが不思議。おっちゃんもおばちゃんも腹を抱えるストーリー。

小朝が用意させた文枝の名前入りの団扇(いらっしゃーい、と書いてある)を文枝登場の際、サプライズで客全員が一斉に振るという珍しい光景が見られた。しかもめくりと座布団を返したのは私服のたい平だった。息子が心配で来てたのかな。

最後に小朝と正蔵も舞台に登場し、今回のイベントを華やかに大阪締めで終わったのだった。今年これ以上楽しいことあるかなあ(笑)