久しぶりに鈴本演芸場に行った。平日昼間なのに結構入っていた。さすがにインバウンドとは関係ないだろう。トリの志ん輔の力かもしれないし、他にも菊之丞、市馬、三三、今松、雲助も出てたのでかなり豪華な顔ぶれだ。古今亭や雲助一門が並んでいると何となく嬉しいのは、弟子の育成に昔から感心しているから。偶然いい噺家がそろったというより、志ん生以来の空気感みたいなものだろうか。粋で力が抜けてて、そこそこいい加減だが根は真面目という。評論家ではないので、この日のそれぞれの噺の詳細は省くが、演目は後述。

この日注目したのは二つ目の古今亭佑輔。女性で権助提灯のお妾さんをなんとも色っぽく演じた。それはそのはずで、この人かなりの美人である。歳も30くらいで、スタイルもいい。本来噺家に向いてない、と昔なら言われたであろう容姿なのだ。かといってアイドル的アピールは一切なく、本人は噺だけで勝負しようとしているのが分かる。所作もきれいで、男のセリフもきっちりとしていて慣れると違和感がさほどない。むしろ女性が際立ってリアリティがあるので、従来の権助提灯の楽しみ方と違った面白さがある。女同志の意地の張り合いが、ある意味笑いを超えてくる。女性落語家の柳亭こみちさんは好きで、いろんな工夫が見られた。風格もあるし寄席に馴染む人だ。今後佑輔がどうなっていくのかわからないが、こんなに興味を抱かせた女性落語家は久々だ。桂二葉さんとは全くタイプ違うが、将来二人会がもし実現したらチケット争奪戦になるだろう。案外そういう日は近いかもしれない。


佑輔 権助提灯

仙志郎・仙成 太神楽

圓十郎 ぞろぞろ

駒平 一目上がり

ロケット団

市馬 長短

三三 たけのこ

のだゆき

雲助 手紙無筆

菊之丞 替わり目

猫八 ものまね

始 湯屋番

今松 猫の皿

ダーク広和 奇術

志ん輔 らくだ