
以前習っていた前衛書道の師に、
「白を書きなさい」と言われました。
墨で、筆で書いているのに、白を書くのだと。
目から鱗でした。
それまで私が真剣になって見ていたのは「黒」だけだったような気がしました。
黒を置きながら、白を作るのだという感覚を初めて実感して書きました。
するといつもより数段楽しいのです。
見えているものと、見えていないものを同時に書くのです。
この余白を扱うという技術は、
書を通して私の違う部分にも影響を与えました。
普段なにげなく過ごしている中にも、
この教えは通ずるものがあるのではないかと思ったのです。
目に見えているものを書くようで、見えないものをも書き上げるように、
目に見えているものを扱うようで、見えないものをも操る。
目に見えているものを見ているようで、見えないものをも見なくては行けないのではないかと。
師の教えてくれた「余白の美学」は私に
大きなあることを気づかせてくれました。