李朝「刷毛目脚付き杯」

今日は9月9日、五節句の一つ「重陽(ちょうよう)の節句」です。別名「菊の節句」とも言われています。

重陽とは、
1月7日「人日(じんじつ)」
3月3日「上巳(じょうし)」
5月5日「端午(たんご)」
7月7日「七夕(しちせき)」

とともに陽の数字の最大値にあたる節句です。

この日にはお酒に菊の花びらを浮かべて飲んだりする行事があります。

ということで、こんな日は特別な酒杯でお酒をいただきたいです。









この画像にある酒杯は、李朝の「脚付き杯」です。器胎に白化粧土を刷毛で施し、見込みと口縁部内側に簡単な輪線を刻んでいます。たぶん「鶏龍山」として充分通用するでしょう。

脚が付いていることは、もともとは祭器として誕生したものと思います。

バリバリに割れていますが、1年以上かけて金継ぎをしました。これを手に入れた時は、一見完品だったのですが、よく調べて見ると巧妙に共直しされていました。

それを全て剥がしたところ、欠損部も少なかったので金継ぎをして今の姿になりました。

口縁部と底部の作りは、凛として鋭く凍りつくような厳しさがあります。

同型でこれに鉄絵が施されたものが、京都市内の「高麗美術館」にありました。ほとんど同じ形なので、同時期に作られたのでしょう。

暑かった夏も終わり、猛暑もようやく収まり、虫たちの鳴き声が聞こえる季節となりました。ゆっくりと秋の気配を楽しみたいのもです。