直径わずか10、7cm。


「ひげ皿」とは、本来はヨーロッパの理髪師がお客さんの髭を剃る時に使う皿でした。

皿の下方にあるくぼみを首にあて、上方にある二つの穴に紐を通し、それをお客さんの首に掛けて剃り落とした髭を受ける皿のことです。

しかし、この画像にあるひげ皿はたいへん小さいので、実用的ではありません。

以前は、この手のひげ皿は、実用のひげ皿の見本としてヨーロッパに輸出された伊万里焼とされていましたが、最近では、当時のヨーロッパの貴族がドールハウスを作るのに使っていたことがわかったきたようです。

ミニチュアと言えども、ちゃんと小さい穴が二つあいています。花紋が描かれ、蝶も飛んでいます。


見込みには、元禄色絵特有の花紋が描かれています。

裏側は無紋です。

さて、どんないきさつで私のところにやってきてくれたのでしょうか。元禄時代にヨーロッパに輸出され、長い時を経てまた日本に戻ったこのひげ皿は何を語るのでしょうか。