私を祝ってくれる日の

前日も、当日も、

70代元カレから

確認の電話があった。

 

 何の確認かと言うと、

当日の互いの準備物や

手順の確認(笑)

 

 元カレは段取りを大事にする人で、

かつ、せっかちなので、

 

とにかく、思った通りに

事が進まないと

気が済まない。

 

 気になったのは、

 

「玄関開けたら

ハグとキス」

 

という手順も追加されていたことだった(笑)

 

 最初に聴いたときは、

ひどく酔っていたので、

 

次の電話の時は

忘れているだろうと思っていた。

 

 

 しかし、

 

当日、しらふで

電話があった時も、

 

「玄関開けたら

ハグとキス」

は、手順の最初にあった(笑)

 

 

 そういうことは

言いもしなくなっていたので、

 

ただの友達を

続けたいのだろうと

 

私は思っていた。

 

 

 まあ、今の私には、別に、

決まった人もいないので。

 

 

 祝いの日は、

確かに、70代元カレの

手順通りに

全てが薦められた。

 

 

 「生ハムの胡瓜巻」は、

やはり、

胡瓜を拍子木切りにしたものに

生ハムをくるくる巻き付ける、

 

「胡瓜の生ハム巻」だった。

 

 シャンパンのあてに

とてもよく、さらに

クリームチーズを合わせれば

もっとよかったな、と思う。

 

 「わかめの鴨肉トッピング」は、

文字通り、

 

さらに生わかめを敷いたところに、

鴨肉のローストの薄切りや

薬味を乗せ、

そこへポン酢と

オリーブオイルを掛ける。

 

 意外な組み合わせなのに

これはなかなか、

美味しいうえに、

健康的。

 

 ビールにもシャンパンにも合う。

 

 豆腐の松前漬け乗せは

以前にも食べたことがあるが、

 

松前漬けは

スーパーで買ったのかと思いきや、

 

「お取り寄せしたんや」

 

と。

 

 かずのこが大きくて

ぷりぷりだった。

 

 松阪牛の野菜炒めも

手際よく作ってくれた。

 

 野菜炒めって

松阪牛で作ると

なぜこんなに、美味いのだろう。

 

 エビ天ぷらは、

きちんと処理されたエビを

私が揚げる。

 

 元カレがあまりにも

楽しみにしてくれていたので、

 

新たに深めのフライパンも

購入した。

 

 

 これまでは、

揚げ油が少なく済むように、

小ぶりのフライパンで揚げていたが

油が周りに飛ぶのがイヤなので

 

深めのフライパンで

思い切って多めの油で揚げたら

ちょうどよく、

からりと揚がった。

 

 

 舞茸もあったので

揚げたところ

 

「これは全部、俺がもらう!」

 

 気に入ったようだ。

 

 

 さらに、

 

「松阪牛のいちぼのステーキ」

 

を、卓上コンロで焼いてくれた。

 

 お腹はいっぱいだったが、

いちぼは美味しい。

 

 でも、さすがに食べきれなくて

それぞれひと切れずつ食べて

 

「後のお肉はお前が食べるために

冷蔵庫にいれておけ」

 

と、全部、くれるという。

 

 フルーツも

苺、オレンジ、バナナを

しっかり食べて

 

最後はケーキ。

 

 キャラメル風味のモンブランと

元カレの好きな

ミルフィーユ。

 

 「ミルフィーユは

俺は時々食べてるから」

 

と、元カレは、

モンブランを半分食べた。

 

「何これ?

 こんなうまいものを

お前は普段、食べてるのか?」

 

と、それも気に入ったようだった。

 

 お料理はいずれもおいしく、

話も楽しく、

楽しい祝いの席となった。

 

 何を話したのかは

すっかり忘れたけれど(笑)

 

 ひとつ覚えているのは、

 

「事前に、

ハグの順番まで確認したのは、

 

いやがられたら、

きまり悪いからや」

 

と、元カレが言ったことだった。

 

 

 ふーん。

 

 セクハラになったら

困るからかな?

 

 複数の会社役員をしてるし?

 

 

 そんなところかな? 

 

 

 以前の私なら、

この後、元カレから

また連絡がなくなって、

 

例えば別の女性と

親しくしているのを感じたならば

 

悔しくて、

哀しくて、

 

訴えようか、

 

と思うだけは、思ったかもしれない。

(行動にはうつさないだろうけれど)

 

 

 でも、もう今の私は

 

元カレのことを

以前のようには

想っていない。

 

(つづく)