「小澤幹雄のやわらかクラシック」という番組。通称「やわクラ」。
もう30年以上前でしょうか、TOKYO FM(当時のFM東京)で日曜日の朝だったかにやってました。
小澤幹雄さんというのは、言わずと知れた指揮者・小澤征爾の実弟。
実はお兄さんのほうはあまり好きではないのだけれど苦笑、幹雄さんのやわらかい語り口は放送も著書もとても好きでした(あ、まだご健在です)。
この番組、クラシック音楽を分かりやすく紹介するといういつもの幹雄さんの主旨なのだけれど、クイズで構成されているところが面白かった。
恐らく、ですが、当時某TV局でやってた「クイズ・ドレミファドン!」からアイディアを拝借したのだろうと思います。
名称は忘れましたが、イントロクイズとか、早回しクイズとか、逆回転クイズとか、クラシックの曲をそういう形で紹介するのです。
あと、超マイナーな曲を流して曲名を当てるやつとか笑
オルフの「カルミナ・ブラーナ」なんて、いまはもうそこそこ知られた曲だろうけれど、当時は音源もほとんどなく誰も知らなかった感じのところで、クイズになった。
あの印象的な冒頭部分の大音響がリスナーの間でしばらく話題になった記憶があります。
実はあの頃、小澤征爾が晋友会という日本のアマチュア合唱団を連れてベルリン・フィルに乗り込んでこのカルミナを演奏し、現地で大喝采を受けたんですよね。フィリップスに録音までしたから、そのPRもあったんじゃなかろうかと、今となっては思いますが笑
兎にも角にも、あの番組で知ったこともたくさんあったし、ほんといい番組でした。
番組が終わってしまうとき、継続を求めるたくさんの嘆願書がFM東京に届いたって話もあったと思います。
あれを聴いて育ったクラオタがたくさんいるんでしょうね笑
その「カルミナ・ブラーナ」。
ドイツの作曲家カール・オルフが、ヨーロッパ中世の世俗詩歌集を題材に作り上げた合唱曲(カンタータ)です。
意外と新しくて1937年の初演。オルフ自身1982年まで存命でしたから。
この曲は是非、歌詞を読みながら聴いてもらいたい。各セクションのタイトルだけ紹介しても、「世界の支配者なる運命の女神」「早春に」「牧場にて」「酒場にて」「愛の誘い」「白い花とヘレナ」と、当時の風俗が赤裸々に語られているなかなかの内容です。
「酒場で」の中に「昔は湖に住んでいた」という曲があるのですが、自分はむかし湖に住んでいた白鳥だったのだけれど、料理人に焼かれて黒焦げになり、皿に盛られて、、という内容。
この焼かれてしまう白鳥の必死の心境をテノールが甲高い声で歌う、聴きどころのひとつです。
もう1曲、「愛の誘い」の最後にある「美しい貴方」。
終曲の直前、一瞬の静寂の中で歌われる短いソロですが、ソプラノの清楚な高音がなんとも美しい。。
で、最後におすすめ音源をいくつか。
まずはムーティ/フィルハーモニア管/フィルハーモニア合唱団。
録音がいまひとつなのですが、ムーティらしい歌に溢れた熱い熱い演奏です。
ティーレマン/ベルリン・ドイツオペラ管/ベルリン・ドイツオペラ合唱団。
これも重量級の聴き応えある演奏。
本文で触れた小澤征爾/ベルリンpo/晋友会合唱団はこちら。
確かにアマチュアとは思えない合唱の完成度かと。
メータ/ロンドンpo/ロンドンフィルハーモニー合唱団は、例の瀕死の白鳥の部分でカウンターテナーの名歌手コヴァルスキーを起用しています。
カウンターテナーを使う演奏は他にもあるのですが、あの高音域をいとも簡単に歌ってしまうので、白鳥の必死さに欠ける気がします。でもそのぶん表現の幅は広がるのかな、とか。