今日は、フランスのオーケストラについてです。

あるフランスオーケストラ(記憶が曖昧なのですが、
たしかパリ管弦楽団)を聴いたときのお話です。

この演奏会は、会場のホールのアルバイトをしていた
関係で、ゲネプロ(当日のリハーサル)も覗くことが
できました。

リハーサルで指揮者が指揮棒を止めると当然のこと
ながらオーケストラは演奏を止めて指揮者の指示を聴きます。

すぐに音が止まらないということはそれだけ指揮者に注意を
向けていない奏者が多いと言うわけで、私が学生時代
にオーケストラを始めた頃は先輩に注意されました。

ところが・・

このオーケストラは指揮者が棒を止めても、しばらく
弾きつづけるのです。プロの奏者が指揮棒が止まったのに
気がついていないわけがないので、彼らは自分が弾きたいと
思うところまで弾き続けていたのだと思います。

さすが自由の国フランス、恐ろしいと思いました。


終演後、オーケストラが引き上げる時、オーケストラの
メンバーは普通、客席に礼をしません。

大人数のオーケストラのメンバーがバラバラに礼をしたら
みっともないし、そうかといってピッタリ合わせて礼を
するのも不気味なのでこのような習慣に恐らくなっている
のだろうと想像します。

ところが、このコンサートでは、礼をすると人、しない人が
いるのです。それでも、バラバラという感じがしないのは
不思議でした。

オーケストラのメンバー個々人がその人なりに観客への
感謝を伝えていると言う感じでした。

中でも印象に残っているのはビオラのトップだった初老の
奏者です。彼はステージの方を向くと穏やかな笑顔で軽く礼を
しました。

高級フランス料理の店長がお客様を最後に見送るような
実にスマートで格好いい挨拶でした。

フランスと言う国の奥の深さを感じさせる演奏会でした。