FORT WAYNE RAILROAD HISTORICAL SOCIETY に保管されていたロードレーラートレーラー

 

先日、米国の専門誌の記事によると、ノーフォーク・サザン鉄道で運行されていたロードレーラー専用列車が8月25日に最終運行を迎えたとのことです。

 

 

 

 

 アメリカの鉄道を利用した複合輸送(インターモーダル輸送)は大きく分けて二種類あります。一つはTOFC(Trailer On Flat Car)方式といってトレーラーをそのまま無蓋貨車に搭載するもの、もう一つはCOFC(Container On Flat Car)方式となります。

 

 もともとアメリカでは列車でトラックやトレーラーで輸送する形態は古くからおこなわれていましたが、専用の機材で大規模に開始したのは1950年代にペンシルヴァニア鉄道によってと言われています。一方、コンテナを貨車で輸送する方式も古くからおこなわれていましたが、国際海上輸送のコンテナ化が進展し、米州内コンテナ規格も定まったことで広く普及しました。

 

 もともとはTOFC方式の方が輸送量が大きかったのですが、国際海上輸送のコンテナ化、米州内のコンテナ規格がトレーラーとそん色のない53ft(国際輸送はISO規格等で20ft, 40ftもしくは45ftに定められています)が普及したこと、なによりコンテナを2段に搭載できるダブルスタック輸送が広まったことで、輸送力に勝るCOFC方式の方が輸送量が大きくなっています(トレーラーが15%、コンテナが85%程度)。

 

トレーラーをそのまま載せるTOFC方式。積み込み・引き取りが迅速なので、小口路線業者等を中心に現在も利用されています

 

コンテナを載せるCOFC方式。現在は2段にコンテナを載せるダブルスタックが普及し、輸送量が向上しました

 

アメリカのトレーラーの例。長さが53ftあり国際海上輸送に使用されるコンテナより長いです(ちなみに幅も少し広い)

 

 そんな中、両者のすき間を埋めるようにトレーラーをそのまま鉄道貨車として運行してしまおう、という発想で生まれたのがロードレーラーでした。古くは1950年代にChesapeake & Ohio鉄道で開発されたのですがあまりうまくいかなかったようで、1980年代に入り、改めて導入がされました。

 

 再導入後は米国の主要貨物鉄道業者やアムトラック(実験のみ)で使用され、21世紀初頭には全米で9000台のロードレーラーのトレーラーが使用されていたようですが、制約要因があり2005年にはノーフォーク・サザン鉄道の運行により、子会社のTriple Crown社が両端の集配送を含む輸送を行う方式に収れんされました。

 

 ロードレーラーの利点は、無蓋貨車を使用する必要がなく、トレーラーをそのまま鉄道輸送に充てることで重量軽減が図れることです。一方、欠点も多く、専用のトレーラーが必要、特に古いタイプはトレーラーに鉄道用の車輪が装備されていたことや、鉄道輸送用のブレーキ配管等が装備されたため機構が複雑だったこと、専用台車を使用する場合も台車の管理や接続等に手間がかかること、などがあげられ次第に敬遠されていきました。

 

古いタイプのロードレーラー。道路用車軸の間に鉄道用の車輪が見える

 

2005年以降はノーフォーク・サザン鉄道がオハイオ州Fort Wayneをハブとして、アトランタ・ペンシルヴァニア・カンザスシティー・ミネアポリス・テキサス・トロント等に専用列車を運行していました。最終運行はミシガンとカンザスシティーを

結ぶ便となったようです。

 

ロードレーラーの挑戦的な歴史はこれで幕を閉じますが、ロードレーラー輸送業者のTriple Crownはこれからもインターモーダル業者として、鉄道を利用したトレーラー・コンテナ輸送を行っていくそうです。