アリゾナ州Winslowという町にある La Posadaホテル

 

 アメリカ合衆国のアリゾナ州と言えば、グランドキャニオンに代表される壮大な自然の風景を思い出す人が多いでしょう。ひょっとしたら、最近はやりの半導体の工場がアリゾナ州に多数設置されていることを思い出す人もいるかもしれません。

 

 それらとは全く異なる魅力的な場所をご紹介いたします。アリゾナ州Winslowという町にある、La Posadaホテルです。

 

 
 このホテルですが、もともとは大陸横断鉄道であったサンタフェ鉄道の休憩施設の一つとして1930年に開設されました。当時は鉄道沿いにこのような施設が長旅の休憩用として設置されましたが、運営は当時高級レストランやホテルチェーンを展開していた、ハーヴィー社(The Harvey Company)が行っていました。そのホテルで給仕をおこなう女性を描いた映画(The Harvey Girls)に当時の華やかさを知ることが出来ます。
 
ホテル内部の様子
 
第2次世界大戦後、航空機産業が盛んになると大陸横断鉄道の需要は激減、ホテルも1950年代後半に廃業、その後は鉄道施設として倉庫代わりに使用されていたようですが、1990年代後半、有志が朽ち果てた建物を再建しホテルとして営業を再開させ、現在に至ります。
 
建物はこの地域によくみられるスペイン植民地スタイルとなっていて、滞在するだけでこの地域の文化に触れることが出来ます。
 
部屋と部屋の間はアーチ状の仕切りになっています。
 
かつてのATS&F(アチソン・トピカ・サンタフェ)鉄道のベル
 
 このホテルですが、もともと大陸横断鉄道用の休憩施設だったため、当然のことながら線路の脇にあります。ロスアンゼルスとシカゴを結ぶBNSFの最重要路線となっていて、一日100本近い列車が行き来しています。また、一日1往復、アムトラックの「サウスウェストチーフ」号が目の前の駅にやってきます。La Posadaホテルは駅チカならぬ、駅ナカホテルです。
 
窓の外はBNSFの線路になっています
 
通過する列車の約半分は高速のダブルスタックコンテナ列車ですが、あとはマニフェストや石油などの列車となります。Winslowには小規模なヤードもあるので、ここで入換を行う列車も多数あります。
 
BNSFの西行列車。2両目はCSXの機関車
 
この列車は2両目にSanta Fe鉄道のワーボンネット塗装でした。当時はまだ少数ながらSanta Fe鉄道塗装が残っていました。
 
こちらは入換用の機関車。手前のSanta Fe鉄道塗装は、かつて存在したSouthern Pacific鉄道とSanta Fe鉄道が1980年代に合併を行う際に導入された塗装ですが、連邦政府当局(州際通商委員会:ICC)が合併許可を取り消し、Southern Pacific鉄道はその後、Union Pacific(UP)鉄道に吸収、Santa Fe鉄道はBerlington Northern鉄道と合併し、BNSF鉄道となります。
 
ホテルから少し離れた場所で、シカゴ方面行のダブルスタックコンテナ列車を見ます。一列車だいたい120両程度のコンテナ車で編成されていますので、約240個のコンテナ(40ft換算,20ftコンテナ換算(TEU)だと480TEU)が搭載可能。
 
JR貨物の最長列車が26両編成、12ftコンテナ130個搭載となりますので、6倍の積載能力となります。
 
日暮れのWinslow駅。駅ナカホテルですと物理的には24時間撮影可能です。
 
Winslowの街はあの有名なルート66も通っていますので、アメリカ観光の際には是非お立ち寄りください。
 
この町で撮影した写真はまたのちの機会に紹介したいと思います