フィラデルフィア市街を走るSEPTA PCC II (2010年撮影)

 

 ついこの間、フィラデルフィア市内を走るROUTE 15のPCC IIによる運行が復活するとの報道がされました(下記参照)

 

 

 記事によると、2020年に発覚したPCC IIの不具合について修復がある程度進んだため、もうすぐ運行を再開すること、もともと18両あったPCC IIのうち約8割に不具合が認められ、そのうち修復を終えた10-12両により運行再開、所要車両数が不足するため、バスによる一部代行は継続すること、等が書かれています。

 

 フィラデルフィアですが、かつて世界一ともいわれた路面電車網を持ち、現在でも米国では最大級のネットワークを維持しています。しかも3種類の規格があり、他都市のそれと比べ、昔ながらのインフラのため「古き良き」時代をしのぶことが出来ます。かつて一度ブログにまとめたこと上がるのでご参考まで。

 

 

 PCCですが、電気鉄道経営者協議会が開発した1930年年代のPCC(President Conference Committee)の略で、近代的な統一規格の路面電車のことになります。フィラデルフィアの公共交通を担うSEPTA (South East Pennsylvania Transportation Authority)は1990年代に一度PCC運行路線を休止し、PCCも長期保管されていましたが、2005年に多額の費用をかけてROUTE15が復活、PCC も近代化修繕が図られPCC IIとして運行再開されました。

 

 

 ROUTE15は、地上地下線(SUBWAY-SURFACE TROLLEY LINES)と呼ばれる、従来型の路面電車路線の中で唯一、フィラデルフィア中心部の地下線に乗り入れず、中心から少し北を東西に横切る形で運行されています。なぜここまで多額の費用を拠出して運行が継続するのか、少々謎ですが、鉄道ファン的には歓迎です。

 

 2027年頃に、SEPTAの地上地下線の車両は、現行の川崎重工製車両(通称 K-Cars)Alstom製の現代的な車両に一掃されるそうですが、PCCIIも何とか数量でも動態保存されることを祈ります。

 

以下写真ですが全て2010年頃撮影です。ご注意を。

こちらは川崎重工製K-Cars。PCC II に比べ近代的ですが1980年代製造のため2027年には引退が予定されています。

 

フィラデルフィア動物園電停に止まる PCC II。動物園に向かう家族連れも見かけます。ちなみに、フィラデルフィア動物園は米国で最も古い動物園の一つです。

 

市内の電停に止まるPCC II。側部にある "PTC"(Philadelphia Transporation Company)のウィングマークも素敵です。

車内はノスタルジックですがLCD化されエコ対応済み。

 

PCC II 後部。こう見るとバスの様です。