肩を落として藤壺を後にされたチャンミン様を見送りながら、ジュンスの命婦は想いあぐねていた。
成長なされてからは常に光の中心におられ聡明なお方であると皆恋い慕うのに、ジェジュン様の事となるとあの様に人目も気にせず大胆に踏み込んでこられ常ならぬ様子。
昔私がユノ帝付きの女房であった頃、チャンミン様のお母上がお亡くなりになられた。帝は幼いチャンミン様をお抱きなり泣いていらしたあの日、まだ何もお分かりにならない小さな王子がお可哀想でならなかった。ジェジュン女御がお輿入れされてからは、幼いチャンミン様も女御をお慕いして毎日のように女御の元へお通いになられていたのでようやくお心が安らぐ新しいお母上がいらしたと安堵していたのが昨日のよう。あの頃から、側でみていても仲睦まじかったお二人が、長じて深く心通わせるようになられたのも無理のない自然な事なのかとも思われた。
「ジュンスの命婦。女御様がお呼びです。」座敷にはいると
「ああ、命婦、御覧なさい美しい月ですよ。なぜか今宵は、ここからご一緒に月を眺めた懐かしい方を思い出します。」女御は昔を思い出すようにしみじみと言葉を繋げられた。
ジュンスの命婦はドキッとしながら「ささ、お風邪を召しませぬようおやすみなさいませ。帝がご心配なされますよ。」と切り返した。面には出されないがジェジュン様のお気持ちもチャンミン様と同じなのだろうことはお側で長くお仕えしていた私にはわかる。チャンミン様もジェジュン様も何よりも主上ユノ帝も私にとっては大事なお方、3人の想いが複雑に絡みあっている。ああ、何という運命なのだろうか。お二人がせめて夢でお会いになられますように…と密かに願う命婦であった。