フロイドの弟子ヴィクトール・フランクルが夜と霧で語っていた。アウシュビッツの満開のカスタニエン栗と話すユダヤ人女囚の話を。​​​

女囚が息を引き取るとき、ガラス窓の向こうの景色をずっと眺めてて

「私はあの樹と喋るのです。私には聞こえるのです。あの樹の声が、、」

「あの樹はなんて喋るのですか?」

窓の外にはカスタニエンの栗の木が立っていて白い花が満開だった。

女囚は喘ぎ喘ぎ

「私は、、、永遠の命だ、、、と。」

そう 答えて 彼女は息絶えた。

強制労働の日々を、博士は聖書の文句を呪文みたいに唱え続けーーある日はっきりとその意味が理解できた。

「貴女の手を私の手に重ね印のようにしなさい。愛は死よりも強ければなり」​

ソロモン王の言葉がはっきりわかったのですね。

私はビクトル・フランクルとヨブ記のヨブが重なるのです。あの人はヨブだったんじゃないか。不幸のどん底にいる人間にしかわからない神との対話をしたのです。

旧約聖書のヨブの家を立続けに禍が襲う。牧童を殺し牛を奪い天から神の火が降って羊も羊飼いも焼け死ぬ。

カルデア人が牧童を殺戮して駱駝を奪う。大風で家屋が倒壊し長男息子と娘全員が死ぬ。

これを聞き ヨブは立ち上がり 衣を裂き髪をそり落とし 地にひれ伏し

「わたしは裸で母の胎より出た。裸で彼処に帰ろう。主は与え、主は奪う。主の御名はほむべきかな」と叫び 神を非難しなかった。

妻は「どこまでも無垢でいるのですか。神を呪って、死になさい」

「お前まで愚かなことを言うのか。わたしたちは、神から幸福をいただいたのだから 不幸もいただこうではないか」と反論し、神を呪わなかった。

フランクルは収容所の日々をヨブと神との対話を思いだしながら生き抜いたヨブだった。

 


フランクルはいつもヨブと対話してたのかな。
フロイドは誰と語ってたのだろう?​