偶には真面目な本を。
ホイジンガ著『ホモ・ルーデンス』。
20世紀の歴史学者ホイジンガが唱えた"人間は遊ぶ動物であり、遊びこそが文化の根源となっている"という人間観の事である。
文化の中から遊びが生まれたのではなく、文化そのものが"遊び"であった…として、この書物の中でホイジンガは、それと絡めて人間の歴史、戦争、政治、経済と凡ゆる事について論じていく。
人類は、古代ギリシャのソフィストによる議論や、古代中国の儀式、祝祭遊びに始まり、これらが成功した事で、集団の安泰と繁栄を確信。
例えば闘技的性格を帯びた贈答という奇習"ポトラッチ"などにより(この"ポトラッチ"のやり方が、やたら詳細に述べられているのが何だか面白い)、相手に勝つ事を重視した結果、その競争原理が封建制を発達させていったのだという。
そうして培われていった音楽、詩、美術、舞踏、そしてもちろんスポーツ。凡ゆる文化は全て遊びであり、遊ぶ事が出来るからこそ、他の動物とも違うのだと。
また、"遊び"の反対は"真面目"であり、そのバランスもまた大事なのであると。
この説が正しいかどうかはともかく、流石は20世紀最大の歴史学者といわれるホイジンガ、その博覧強記っぷりには心底驚かされた。
神話や風習についても色々述べられているので、文化人類学の本としても面白い。
また、時代が時代なだけに仕方のない面もあったかもしれないのだが"19世紀以降は、かつてと比べて文化としての"遊び"の度合いが失われた時代になってしまっており、それは例えば戦争についても同じ事で、そのためにナチスの台頭を許す事になってしまった"として、終盤で急にナチス批判が始まるのは、些か唐突かつこじ付けに感じられてしまった。(それが正しいかどうかはまた別として…)
全体的に難解でしたが、何とか一通り目を通しました。ホイジンガといえば大著『中世の秋』という事で、次はこれにも挑戦したい。
