カナザワ映画祭2日目にて鑑賞した『無垢の祈り』という映画が凄かった。
ちなみにホラー作家・平山夢明原作の短編集の中の一編を映像化した作品であり『私の奴隷になりなさい』などを撮った亀井亨監督が、自主製作で作り上げた映画である。というか、内容が内容だけに、商業では絶対に無理だろう…なお、原作は読了済。
とある工業地帯にある街。学校では苛められ、家では義父に虐待され、新興宗教に嵌る母親にも迫られ、逃げ場の無くなった11歳の少女・ふみが、完全に崩壊している世界の中で、連続殺人鬼に救いを求める…という、正直、フィクションではあるが、余りにも重いお話。
実際に子役の女の子がふみを演じており、映像化となると、色々倫理的にヤバい表現が原作では存在しているのだが、本当にアウトな場面の演出は、ある"モノ"を使う事でそのアウトさが回避されており、寧ろそれを用いることによって、原作とはまた違った、気持ち悪さ、怖さが、映像の中に生み出されていた。
カナザワ映画祭2016にて、世界初上映且つ爆音上映版で鑑賞したのだが、最初の工場の遠景で爆音というより轟音で流れるインダストリアルロック的な機械音(予告編でも使われている)、そして続く義父による虐待の場面が先ず凄まじすぎて、耳と心をズタズタにやられてしまい、この時点で具合が悪くなってしまった。
その後も目を背けたくなるどころか、退席を考えたくなるほどの、地獄の様な場面が続出しまくったのだが、何とか耐え抜き、少女に訪れたラストの場面では、詳しくは書けないが、ふみ役の彼女の迫真の演技に心を打たれてしまい、色々な感情が一気に噴出して、久しぶりに泣いてしまった。
終わってみれば、何とも言えない余韻を残したこの作品。
上映終了後の亀井亨監督と原作者である平山夢明先生の愉快なトークショーが無ければ、重い気持ちをずっと引きずったままだっただろう。(正直、今もちょっと引きずってはいるが…。)
しかし、これは観なければならない作品であると思うし、観てよかったとも思った。
『君の名は。』も良いけれど、こういう作品も是非、多くの人に見てほしい。そして何かを感じて欲しい作品である。