シングルマザー、一戸建てを買う -3ページ目

シングルマザー、一戸建てを買う

シングルマザーが一戸建てを買うまでの、また現在進行中の奮闘記

申込みが決まってからは早かった。

購入申込書を記入して売主に提出。おずおず交渉した値引きは、売り出し額から100万値引きしてもらえることに。

これは大変助かった。自分の融資限度額で全額購入できる額になったため、全額ローンにして諸費用・リフォーム代を自分の貯金から賄うスタイルにできる。親に迷惑をかけることもない。

 

その後、契約書もかわし、住宅ローンの本審査に銀行へ。前回の仮審査結果をそのまま使えるとの事で、そのまま本審査→結果OKへ。

額が少ないとはいえ頭金なしの満額ローン。いろいろ住宅ローンを調べて分かったけど、低金利のこのご時世はフルローンで買うことが割と普通になっているようでびっくりした。なるほど、昔だと5%ぐらいあった金利が今は1%程度だもんな・・一括するより手元に現金を置いておける方がいいということか。

少しでも利子を減らすために頭金は多いに越したことないと思っていたけど、時代が変わればいろいろ変わるんだな・・。そしてこのご時世のおかげでこんな自分も家を買うことができたともいえる。感謝感謝である。

 

でも今流行りの35年ローン、これは未だに自分にはしっくりこない。今の低金利なら問題ないのだろうだけど、私は以前、(元)義両親が35年ローンで建てた家の残債を引き継いで払っていた過去がある。時が経つといろいろ収入予定が変わり、返済計画が破たんすることだってある。その面倒をかぶるのは次の世代だ。それもあって、自分の場合はローンは自分で後始末ができる範囲で、と強く思っている。(※これは飽くまで自分の考えであって、資金のある人は問題ないんだろうけど)

 

そして保険には保険をかけて、一番手厚い団信と一番長い固定金利を選択。それでも今の賃貸の6割程度の月額。これで子供が片付く15年後まで逃げ切るつもり。

子ども達が皆出て行ったら、そのまま住めるところまで住み続けても良し、家が限界だったら土地ごと売って、実家に戻るか市営住宅に入るもよし。

火災保険もいろいろ面倒を見て頂けるこの銀行で契約。ただあらかじめネットで見積りを比較して提示額の半分に抑えた。これで諸費用は90万ぐらい。値引き前の金額で収まった。

 

しかし不動産屋や銀行に一人で契約書類を書きに行って実印を押すたびに、自分は今とんでもなく大きなことに踏み出そうとしているのでは・・?と内心ドキドキガクガクだった。

女1人で15年ローンである。その後の修繕だって全部自分持ち。正気になるとぶっ倒れそうだ。

しかしこれからもこういう大きな人生の節目については、全部自分で調べ、自分で決めねばならないのだ。改めて覚悟を決める。

 

さて、すべて書類を書き終えてローン申し込み完了。手続きが終わったら融資実行、引き渡しである。

書類の連絡をドキドキしながら待っていると、銀行から電話。

「こちらの建物、増築部分の登記がされていないようなのですが・・」な、なに?聞いてないよ不動産屋さん!

後編へ続くのである。。。

週末、早速子供と一緒に内覧へ。

聞くとすでに自分を含め何件か問い合わせ・内覧があるらしい。そりゃそうだろう、この中心街エリアで中古物件なんて今まで見たことが無い。

平日に家の周りはすでに確認済。接道は広く、家も団地ではなく普通の居住区域。自分の小さいころからあった、開けた街中の住宅地である。

まず外観。特に基礎のひび割れ等も見られず問題ない。外壁・瓦は10年前にリフォームしたとのこと。元店舗だけあってこじゃれた可愛いタイル調の外観である。

内装は古さを覚悟してはいたが、クロスを張り替えてあって綺麗だった。

床の浮きやふかふか感、変なかび臭さもない。天井も特に雨漏りとみられる染みはない。

店舗部分も設備は綺麗に取り払われ、そのまま事務所として使える綺麗さだった。

そして店舗が奥の住居部分と繋がっている。求めていた間取り。

風呂はタイルだし改装は必要だろう。トイレは改装済、キッチンは流しだけ変えればよさそう。どちらにしろこの価格なら水回りのリフォームも予算に入れられる。

二階も子ども部屋にふさわしい間取り。

そして改めて見ると本当に中心街ど真ん中で何もかもが近い。駅も、学校も、飲食店も、スーパーも。

これだ・・・!と思った。

後は価格・・とおずおずと聞いてみたら、値下げ可能とのこと。訳アリでもない。

値下げ可能の金額も聞き、あちこち念入りに見て写真をとり、車の中へ。

もう子どもと「買おう」という話になっていた。

 

多分このインスピレーション、他の内覧者でも同様に感じている人はいるだろう。

立地問題なし、ちょっとお店を開業したい人には絶好の場所と間取り。

中は水回りさえ直せば住めるレベル。築年数は旧耐震クリアしている。

そしてこの価格。現金一括できる人だっているだろう。

 

しかし、即買いに対する迷いもあった。築35年で瑕疵担保免責、現状有姿との説明。

本当は住宅診断とかもしたい。中を正確に知った上で検討したい。

しかしそんなのを申し込んでいる間に、多分この物件は取られる。ひとつ前だってそうだった。そのほかだって、内覧を申し込んでも既に決まっている事も多かった。

自分が必要なのは15年。15年で子どもはほぼ成人し、ローンも終了。その後住めなさそうだったらこの場所なら売ることもできる。

 

親に一応相談。立地の良さのせいか、いつもつけてくる難癖を全くつけなかった。

ドキドキしながらその日のうちに不動産に電話を入れた。

物件の仮押さえが取れた。

 

一気に物事が動いたのである・・!

「戸建ては買わず、このまま賃貸暮らしを続けるのが今の貴方の状況ではベストなのでは?」

 

そうとどめを刺されてから数日。

全てが振り出しに戻った。

 

でも心の中は案外すっきりとしていた。

何としても家を・・!という執着や焦りから解放された(現実を突きつけられた)からなのか。

とりあえず、1年半後の引っ越しだけは予定しよう。何もなければ賃貸で引っ越してもいいし。

 

とはいえ、戸建てを完全にあきらめたわけではなかった。

このカオスの現状から脱し、部屋数を確保しなければならないことは変わりがない。

しかし賃貸で3LDK以上はかなり条件が厳しい。まず物件が無いし、あっても月8~10万。

子どもが成人するまで約10年間、また高額な家賃を払い続けるのか・・

この点については、やはり納得がいかなかった。

 

もちろん、希望の戸建て物件を買うのはさらに難しいということも十分理解していた。

はっきり言って、どうしていいかもうさっぱりお手上げだった。

そんな、納得はしていないが、現状にほぼ諦めかけていたある日。

 

ここしばらくで不動産サイトとミニコミ誌をチェックするのが日課になっていた自分は

その日もポスティングされたミニコミ誌をパラパラとめくっていた。

ふと、1つの物件が目に留まった。

店舗付き物件。いつもなら対象外としてスルーするところだが、よくよく見てみると、場所がまさに求めている中心街である。価格も1000万以内。

間取りは小さな店舗+3LDKで築35年、リノベーション済。ストビューと現地に行って外見も確認。小さな店舗とその横に住居用のドア。見た目はけして古さを感じなかった。

 

・・ピンと来た。これじゃないのか?

この物件なら自分の事務所も持てる。しかも学校・駅も徒歩圏内、希望のエリアど真ん中の中心街。

後は建物がどれだけの状態か、見極めはそこだろう。

築年数がいっているのは分かっている。が、住める状態なのか。構造躯体はどうなのか。

電話して内覧の予約を取る。

 

内覧の前日もなぜかそわそわして眠れなかった。

あんな激しく門前払いをされておきながら、本当懲りない奴・・と思いながら。

そして週末、何度目かの内覧に向かったのである。

前回のショックも冷めやらぬ中、相変わらず不動産サイトやミニコミ誌をチェックする毎日。

そして、ここまでいくつか物件をみた中で、分かってきたことがあった。

自分達がどういう家に住みたいのかということだ。

 

・構造的な傷みなし(雨漏り、白アリなど)

・旧耐震以降の物件、トタン外壁、砂壁はNG(修繕が大変だから)

・リフォーム済物件、もしくは1,2カ所の手直しで完結する物件

・中心街物件(しかし団地は避けたい)

・価格は1000万以下(ローン期間を抑えるため)

 

はっきりしてきたのは良かった。やっぱり前回の教訓が生きているのだろう。

が、もう一つはっきりしてきたことがある。

 

「こんな物件、あるわけがない・・!」

 

この地域の相場は新築は2000~3000万台(地方で安いとは思うけど)。中心街だと土地代だけで1000万超えるところもザラ。

しかし築浅中古ではほとんど価格は落ちない。

かといってオンボロ中古は嫌だときた。

お金のないやつが何を夢物語を話しているのですかと。

 

うすうすと気が付いてきたところに、友人が知り合いの工務店を紹介してくれた。

新築を諦めている自分は丁重にお断りしたが、「相談だけでもしてみたら」との事で

自分の状況を話し、考えている物件と予算について聞いてみる事に。

そこで言われたことは、

 

・新築は予算的に難しい(当然だが・・)

・中古も築浅は無理だろう

・築古物件を買ったとして、その後の修繕費の事を考えているか?古ければ古いほどあちこちの修繕にかなりかかることになる

・今無理してローンを組んで購入したとして、これから子どもが進学するにつれて出費もさらに増え、生活がきつくなるように思える。子どもが成人するまでこのまま賃貸を続けて将来に備えてはどうか?

 

・・そう。そのとおりだ。最初から分かっていたことだ。

私には一戸建てを買う能力はない。

賃貸で生活、本当におっしゃるとおりだ。

(工務店の方は親切で良い方ではあった。客ではない自分にしっかりと話をしてくれたのだから。)

 

戸建て獲得に向けて、今までいろいろ奮闘してきた自分だが、

スッと付き物が落ちたようになった。

 

「・・家はあきらめよう。」

 

そして、未来の希望に燃えて熱く渦巻いていた、心の情熱も消えかけたのである・・。この時は。

「住宅ローンの審査を受けたいんですけど・・」

銀行のローン相談センターでおずおずと尋ねてみたところ、行員さんは快く説明してくれた。

フラット35については、当行では仮審査が無くいきなり本審査になるという。それはちょっと不安である。

結果、長年の当行の利用歴があるし、銀行独自の住宅ローンにも仮審査出して見ましょう、ということになった。

 

そして3日後に銀行ローン仮審査OKの連絡が。

私は正直銀行のローンは通らないだろうと思っていた。でもこの銀行はかれこれもう独身の頃からメインバンクとして使っていたので、それが効いたのかもしれない。(金額も低かったのもあったと思うけど)

 

もう雰囲気は買う流れになっていた。

親にも電話をする。自分のお金だけでは足りないから頭金の無心。(この年にもなって・・)

でも親からの返事は「どうしてもというなら止めないけど、本当によく考えてみろ」だった。

勿論、子ども達も住む気満々。私は、「なぜ?こんなにいい物件なのに?」と憤りつつも、購入の返事を1日、また1日と伸ばしてしまっていた。

 

実は、ここまで来ておいて、私自身も決断が出来なかったのだ。

なぜかははっきり分からなかった。漠然とした不安というか。。

 

2、3日後、意を決して電話をかけた。すると

「すみません、あなたの後に見に来た人が買い付け書を出してしまいました」との返事。

 

ああ。。やっぱりそういう事か。。

これが、いわゆる「ご縁がなかった」ということなのか。

 

その時はなぜ自分が返事を伸ばしたのか分からなった。だから物凄く自分に後悔したし、しばらくは脱力感が半端なかった。

しかし、今思えば、学校と駅の遠さ(1件目ほどではないが)、郊外であること、そして実家から遠く離れてしまう事が原因だったのだろう。本当に貴方はここに住んでいいの?これからずっと?というところで、イメージがわいてこなかったのだと思う。

 

家探し期限は来年いっぱいまである。しかし次同じような物件がいつ出て来るのか。期限までに出てこないかも知れない。出てきても取り合いに勝てないかも知れない。

家探しって本当に難しい。

女ひとりで、そんな簡単に買える物じゃないのかも・・と思った今回の一件なのだった。