世間が注目した貴乃花親方は順当に落選した。
「順当に」と書いたのは、相撲協会の理事補選は政治の世界の選挙とは全く違うから。
政治の世界の選挙では候補者と有権者の間のルールが「公選挙法」によりしっかり決められている。
しなしながら、大相撲では取り組みが八百長により勝敗があらかじめ決まっているように、この理事補選にもルールは無く結果もあらかじめ決まっているのが今や常識である。
そもそも、立候補者も一門の中で年功序列っぽく決めた中で、一門の中では誰が誰に投票するかまで決めてから、立候補の表明を行い、そして補選の投票に臨む。番狂わせがあるはずないのだ。
世間で言えば、入札での談合だったり、選挙での違反行為にあたるが、相撲協会では入門時より新弟子に対してルールとか規則という概念を持たないよう厳しく指導が行われる。
新弟子も最初は違和感を抱き、反発する者も居るが、竹刀で矯正されながら八百長を叩き込まれ、立派な力士へとなってゆく。
8勝7敗で勝ち越せるようになれば一人前と認められるようになるのだ。
そんな興行にもプロレスのようにヒール役が居ないとファンの熱狂を得られない。そのためのヒール役として欠かせないのが、貴乃花親方だ。
相撲協会は、大相撲が盛り上がるよう、不祥事は隠蔽し、八百長は無いものと目をつぶり、星の回し合いをするモンゴル勢を自由にさせて頑張っているのに、それらを台無しに掻き回し、協会の言うことを聞かないならず者、それこそが貴乃花親方だ。
こんなならず者が理事として当選しても、評議会が黙っちゃいない。不倫は文化であり、礼節をもって文化を育んだ評議委員長が健在なうちは、ならず者は理事として認めないし、相撲協会のために自分の部屋で起きた刑事事件もちゃんと隠蔽できるような、立派な親方だけしか認めない。
これで、相撲協会及び大相撲の世界は、これまでどおりの世界観を死守でき、何事も無かったかのように、相撲道に邁進できるってもんだ。
ごく一部の小市民は反発しているものの、相撲協会には痛くも痒くも無い。だって、本場所に足を運ぶようなコアなファンは、ここに書いたような「常識」を知ったうえで、興行として楽しみに行ってるし、相撲見物をすることに「粋」を見いだし、ステータスと感じている。
小市民が相撲中継をボイコットしても、視聴率を気にしない天下の国営放送が放送を確約し、税金に近いお金が放映料として相撲協会に支払われる。何も変わらないのだ。
しかし、今回の理事補選で貴乃花親方が獲得した票は2票との報道があった。
これまでであれば、貴乃花親方には1票しか入らなかったであろう。そして、貴乃花親方に入れたもう一票が誰の票であるかは徹底的に調べられ、二度と同じことが起きないように厳しく締め付けが行われる。
この1票が将来の蟻の一穴とならんことを祈って貴乃花親方へのエールとしたい。