あけましておめでとうございます。


今日は本の話です。

昨日、家からそう遠くないところにある個人書店に平積みで売られていた「鬱の本」というタイトルの本を買いました。昨年の私自身への労いを込めて。

今日はずっとそれを読んでいました。


ちょっと重い内容かと思いきや、鬱を経験した人や、現在も憂鬱の最中にある人達が、1人1ページの枠で自分なりの人生観やオススメ本(しんどい時に助けてくれた本や言葉)などを書いている本でした。読みやすく、重くなく、それでいて肯定も否定もしない、不思議な読後感を持つ本でした。


先週お店に行って見つけ、新品は高いからと中古で探していましたが見つからず、新品も大手の書店の在庫ではほぼ扱ってなかったので、行った店に昨日また訪れて購入しました。


生活用品や食品を買ったりする時もいつも同じものを買うばかりで、作業として遂行していました。だから、久々に「欲しいものを自分のために買ったな」と思いました。


鬱の本 


点滅社、なんて初めて聞いた出版社です。面白い名前。

本を読めている時は自分の心が安定している時だなと思います。

他人の声が入る余地がある、という点で。


この本が良かったのは、万人受けしないところにある気がします。経験した人にしか分からないような言葉が多いので、ストライクゾーンは狭いかもしれません。


個人書店が最近少しずつ増えてるようです。

本屋とパン屋だけは、見つけるといつも勝手に足が運ばれていきます。


ネットを見ていたら、ふと吉野弘氏の 「菜々子に」の詩の一文を見つけました。数年前に読んだ時とは違う気持ちでまた読んでみました。


奈々子に  吉野弘

赤い林檎の頬をして
眠っている 奈々子

お前のお母さんの頬の赤さは
そっくり
奈々子の頬にいってしまって
ひところのお母さんの
つややかな頬は少し青ざめた
お父さんにもちょっと
酸っぱい思いがふえた


唐突だが
奈々子
お父さんは お前に
多くを期待しないだろう
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに
自分を駄目にしてしまうか
お父さんは
はっきり
知ってしまったから

お父さんが
お前にあげたいものは
健康と
自分を愛する心だ

ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ

自分を愛することをやめるとき
ひとは
他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう

自分があるとき
他人があり
世界がある

お父さんにも
お母さんにも
酸っぱい苦労が増えた
苦労は
今は
お前にあげられない

お前にあげたいものは
香りのよい健康と
かちとるにむづかしく
はぐくむにむづかしい
自分を愛する心だ


改めて心に沁みる詩だと思いました。

新年最初の記事は、この詩から始めたいと思います。