離婚を悩むメル友男性に、立ち位置不明なメッセージを送りながら、私は心のどこかで自分自身を冷めた目で見ていた。




Kさんが守っている日常との線引きを越えたい。




私は一度でもそんな気持ちを持ったことはないと言い切れるのか。








先日のデート。


レンズ越しに私を見つめる表情から、Kさんの気持ちを確信する。




満足すれば良いのに、確信は私を加速させた。




高校時代に会いたかったな。

そうしたら、Kさんの部活が終わるのを待って、一緒に帰るの♡


れもんは綺麗だから、周りには他の男の人がいて、僕のことは目に入るかな笑




奥さんより前に私と出会っていたら…




いつかその言葉に繋がらないように、私との関係が楽しさだけで完結するように、Kさんは決して舵取りを間違えない。








安心してふたりの距離感をKさんに任せ切っている私にも、突き詰めれば不安はある。




婚外活動を始めたときに打ったHPVワクチンも、ミレーナでの避妊も、100%ではない。


わずかな確率で何かが起こったとき、他人の夫であるKさんに助けてもらうことはできない。


私の身体に起こることは、全て私が受け止めなければならない。




同じ確率で、この恋愛が周りに知られたら、どうなるのだろう。


夫は絶対に私を許さないし、子どもたちは母親に裏切られた気持ちになるだろう。

義理の両親には絶縁され、実の両親には勘当され、たくさんの人に軽蔑されるかもしれない。


今の不自由のない暮らしから一転して、一人で放り出された後、まともに働いたことのない私は、どうやって生活していくのだろう。




私が無傷でいられる保証なんか、どこにもない。









不倫する時点で、傷つく覚悟はあるんじゃないの?




ただ頭に浮かんだまま、相手を丸め込めるような言葉を打ち込んだだけだった。




諸刃の剣とはこのこと。








傷つく覚悟、私こそできてる…?