公園には、四方と中央に木々が植えてありました。ゆきは、お日様が当たり、キラキラと光っている木を目指して歩きだしました。


「あっ!」


大きな木の根っ子に、子猫はいました。
小さな身体を、小さく丸めています。
白黒の毛の子猫。白い部分の毛は、少し汚れていました。


『死にかけている?それとも、眠っている?』


ゆきは、ゆっくりとしゃがみ、子猫に近づきました。
そ~~~っと、両手を差し出し、息を止めて………
ゆっくりとゆっくりと…

『お願い、ビックリして、逃げたりしないでね。逃げれる元気があれば良いけど…お願い!』


フワフワの子猫の毛が、ゆきの手に触れました。


続く
「すみません。私はボランティアで掃除してます。市の職員ではありませんので。」
お爺さんは、軽く会釈して、掃除を続けました。

「そうですか…」
女性は、一言返事をして、「行こうか…」柴犬さんに話しかけて、公園から出ていきました。


『死にかけている子猫が、公園のどこかにいる』


彼女を追いかけて、どこにいるか、聞くのは簡単なことです。しかし、ゆきは追いかけませんでした。

『死にかけてる、処分して下さい』

猫も犬も家族として、生活しているゆきには、この二言で、彼女を追いかける気持ちにはなりません。


それと、追いかけて、尋ねなくても、子猫が私を導く…という気持ちが、大きく膨らんできていました。


子猫が『生きたい』と、願う気持ちが、ゆきを公園に呼んだのでしょう。

一瞬、グレー色の空は 青空になり、お日様の光が眩しく、キラキラと公園が光ってみえましたキラキラ


『子猫ちゃん、私を導いて。あなたに会いたい。』


ゆきは、ゆっくりと立ち上がり、足音をたてないように、静かに歩きだしました。
まるで猫さんが、忍び足で歩くように…ゆっくりとゆっくりと…。
ある年の10月23日。
ゆきは 公園のベンチに座り、空を見上げていました。

綺麗に晴れた青空、心地好い秋晴れなのに、ゆきの目には、青空が、グレー色に見えます。
「仕事に戻らないと…」
悲しいことでもあったのでしょう。青空が、グレー色に見えるのですから。



お昼前の公園は、とても静かです。ゆきは、仕事と仕事の合間に、少しの時間を、この公園に座り、休憩するのが好きでした。


毎日、1人のお爺さんが、公園をお掃除されてます。この日も、お爺さんは、1人で黙々とお掃除をされていました。

グレーに見える空を見上げ、背後からは、お爺さんが落葉をはく音だけが、聞こえてきます。

どれくらい、静かな時が過ぎたでしょう…


「あの~すみません。あちらで、仔猫が死にかけているんですけど…」

女性の声が耳に入り、お爺さんが落葉をはく音が止まりました。
ゆきは、振り返りました。柴犬さんのお散歩中の女性と、お爺さんが、ゆきの視界に入ってきました。


続く