急に甘えん坊になった桜。ゆきに甘えてくる姿は、可愛くてたまりませんでした。


孤独を愛する桜は、食事の時も、少し離れて食べていました。
食べる量も、みんなと比べると少なめでした。


ゆきの子達(猫達)は、おデブ猫達が多かったのですが、桜は、細い猫のままでした。
細い猫と思っているのは、ゆきだけで、世間では普通のスタイルの猫だったのでしょう。


その桜が、毎食、綺麗に完食するようになり、まだ足りないのか…華君の餌まで、横から食べにいくのです。
優しい華君は、桜に餌を譲り、ゆきの顔を見上げていました。


「桜ちゃん、おかわりあげるから、華君のを横から食べたらダメでしょ…」


おかわりも完食して、満足して顔を洗っている桜を見て………


えっ?まさか………?




続く
今まで、ゆきに対しても、一定の距離をおき接していた桜が急に甘えてくるようになり、ゆきは嬉しくてたまりませんでした。


桜は、友人の家で産まれた子猫でした。
お母さんは野良猫さんでした。
友人の家で出産をして、子育てをして、子猫達が2ヶ月になった頃、姿を消しました。

3匹のオス猫兄弟と仲良く暮らしていたのですが、
6ヶ月位の頃…ゆきが友人に頼まれて、桜を引き取りに行きました。


友人の家から、ゆきの家まで、ゲージの中の桜は泣き叫んでいました。
「ギャオー!ギャオー!」

兄弟達と仲良く暮らしていたのに、一匹だけ離されたのですから…


今でも、あの時の桜の泣き叫んぶ声が、ゆきの耳には残っていました。
桜にとっては、ゆきは許せない人間なのかもしれません。

少しづつ、少しづつ…ゆきと桜の距離は縮まっていきましたが、一定の距離が縮まることはありませんでした。


夜、ゆきが部屋にいる時は、桜はピッタリくっついてくるようになりました。


「急に甘えん坊になったね、桜ちゃん。そろそろ発情期かな?病院へ行かないといけないね…」


こたつの中を、覗いてみると、モモは華君のミルクもどきを飲んでいます。


「モモはまだまだ赤ちゃんだわ」


病院は、まだまだ行かなくていいわ…と、思っていました。




続く
ゆきの部屋の真ん中には、ホットカーペットがひかれ、こたつが置いてあります。(こたつには電気は入れず、カーペットのみ使用)

冬の寒い日、猫達はこたつに集合して寝ていました。猫こたつです。モモは、ゆきの足にじゃれて遊んでいます。

でも、桜だけは、こたつの中には入らず、こたつ布団の上で寝ます。


夜、ゆきはこのこたつに足を伸ばして入るのが大好きでした。
猫達でいっぱいのこたつに足を入れて、寝転ぶと、温かくて温かくて…。
そのまま、ウトウトと寝てしまいます。


今までは、ゆきから少し離れて寝ていた桜が、気がつくと、ゆきにピッタリ寄り添い、眠るようになりました。


ゆきはそっと、桜を抱いて眠りました。
今までなら、離れてしまう桜が、ゴロゴロと喉を鳴らして、ゆきに甘えてくるようになったのです。




続く