さらば愛しき日々、そしてまだまだ続くジェットコースターの第三章へ | 気まぐれデトックス

気まぐれデトックス

基本、デトックス目的のブログです。
アメンバーの承認は、直接の知人、もしくは高橋大輔選手ONLYファンとわかるプロフィール設定をしておられる方のみとさせていただきます。

お久しぶりです。

 

かなだい引退発表から10日が経過しました。

昨日からIce Explosion 2023 in 福岡も始まっています。

 

ショックで寝込んでた?

いえいえ、そういうわけではなく。

単純に、試合を観る為に無理して休み取ったりしていたツケがまわってきて、仕事と家のことでなかなかじっくりPCに向かう時間がとれなかっただけです。

IE福岡も、行きたいのはやまやまながら、どうしても優先せざるをえない家庭の事情があり、Twitterに流れてくる「拉致される大輔さん」「踊り狂う大輔さん」はじめサイバーラビットやBlackPinkの映像眺めてはため息ついてます。

 

確かに、第一報を聞いた時には、自分でもびっくりするほど衝撃が強くて。

ちょっと家事をする気にもなれなかったし、翌日出社当番に当たっていたのだけれども、正直、「熱出しました!」とか大嘘ぶっこいて休みたいくらいでしたよ。

どうせ連休の谷間、出社したってそれほど忙しい訳でもないのに、って。

 

たぶんね、彼の第一次現役時代の最後2シーズンが、あまりにもしんどくて、「かなだい」としての新たな挑戦によって、自分の中では「現役選手を応援する」という、ワクワクハラハラドキドキの体験を、幸せな形で上書きさせてもらっているような感覚だったんですよね。さらにあの、ワールドと国別の演技を目にして、「次シーズンはGPSで台のりだ!」って、勝手に盛り上がっちゃってたんですね。

 

わかっていた筈だったのにね。

 

大輔さんの右膝の前十字靭帯断裂と半月板損傷は、普通なら選手生命を絶たれていたレベルの大怪我で、フィギュアスケートというジャンプの着地を行う右脚にとりわけ負担のかかる競技のトップ選手としてあれほど高いレベルで復帰でき、数々の「アジア人男子初」の栄冠を得続けたこと自体、ありえないほどの成功事例であるということ。

アイスダンスに転向してからも、今回会見で明らかにするまではけっして口には出さなかったけれど、キス&クライで時折右脚、右膝をさすっていたこと。

フロリダ振付配信の中で、トカチェンココーチから「ダイスケの脚が大丈夫なら」という言葉が出ていたこと。

 

荒川さんとの対談の中で、身体が許すなら、シングルとアイスダンス、両方競技を続けたい、オリンピック目指したい、とまで言うほど、彼は「競技が好き」な根っからのアスリートでもあって。

そして「アスリート」であるからこそ、その競技において「上」を目指せる、自らの技術を向上させる、ということに集中せざるをえなくて、それが膝の痛みゆえに叶わないのであれば、たとえ、続けていれば全日本連覇もワールドTop10も十分達成可能であろう未来が見えるとしても、それは、彼にとってあまり意味はない、ということも。

 

ひとつひとつ、思い合わせれば、ズエワコーチの仰る通り、今季を以て競技選手としては引退し、違うステージで活躍するというのは、「logical」そのものの選択。

 

何より、自国開催のワールドと国別対抗戦で、満員の、世界中の選手達から感謝と賛辞を贈られるよき観客達からあれほどの声援とスタンディングオベーションを捧げられて、深く記憶に残る美しい演技をもって幕引きできた。

それも、二人の恩師の目の前で。

これ以上、何を望むことがあるでしょうか。

 

 

ありがとう、大輔さん、哉中さん。

美しい、幸せな、愛しい3シーズンでした。

採点に疑問をもったり、ルールブックをじっくり読んだり、ジャッジ達のつけるPCSやGOEに一喜一憂したりするのも、これでおそらく最後です。

フィギュアスケートは好きだから、今後も観続けると思うけれども、もう、試合の為に遠征したり、一日14時間も試合会場に身を置いて、旗やバナーを振ったり、掌が真っ赤になるほど拍手したりすることは、ないと思います。

現役選手を全力で応援するという、愛おしくも熱い日々をありがとう。

爽やかに明るい瞳で「次のステージ」への夢を語る大輔さん。

うつろな眼差しで「ほしいもの」を問われて「夢、ですかね」と答えていた貴方の、その笑顔が何よりも貴く、ありがたい。

こんな競技生活の大団円を迎えることができたのは、信じられないほどの勇気を振り絞って、大輔ファンに疎まれるのも覚悟で、大輔さんをアイスダンスに誘ってくれた哉中さん、貴方のおかげです。ありがとう。

膝の古傷に苦しむ彼を見守り、時には激しくぶつかり合いながらも、「何があっても誘ったのは自分」と腹をくくって真摯に向き合ってきた貴方の姿は美しかった。本当に、頭が下がります。

たぶん哉中さん自身が望めば、日本の生んだ最高のアイスダンサーである彼女には、もう一度オリンピックの場に立つ可能性も十分以上にあったと思うけれども、彼女は最初から言っていました。「大ちゃんの世界を体験したい」と。

そして「かなだい」としての日々は、哉中さん自身、「フィギュアスケーター・村元哉中」の在り方を、より確固たるものにしてゆく道程だったのではないでしょうか。

音楽の選曲や編集のセンス、ソロでもカップルでも音楽を体現する力、ヘアスタイルやメイク等にも伺われる美的感覚、ワールドでたった三人きりのステップLv4を叩き出すほどのアイスダンサーとしての能力。

もし彼女が大輔さんに声をかけてくれなかったなら、私たちは、こんな素晴らしいアイスダンサーの存在を、見過ごしてしまっていたのかもしれません。

「かなクリ」の世界も本当に素敵だったのだけれども、報道され衆目を集める機会は、おそらく桁違いだった筈。

 

 

引退会見の翌日のスポーツ紙を、「大人買い」しました。

アイスダンサーが、これほど全紙にわたって、全面カラーで採り上げられたことなど、かつてなかったし、これからも、なかなかないでしょう。

 

ファンに向けてのインスタライブの中でも、大輔さんは「ジェットコースターってよく言われるんですけれども、まだまだ続きますので、ジェットコースターにご一緒いただければ嬉しいです」と笑顔で言ってくれました。

そう、ひと息ついている場合ではなくて。安全ベルトを再確認ですよ、我ら。

これからは、本当の意味での「プロフェッショナル」なフィギュアスケーターにしてパフォーマーとして、活躍の場を拡げていくのだから。

時には失敗もするでしょうし、やきもきしたり、ハラハラすることもあるだろうけれども。

「自分の中で、何を豊かにしておけば幸せでいられるか」がわかったという大輔さんには、その誠実で真剣な在り方によって築いてきた強固な信頼と、支えてくれる人々がいる。これまでも様々な経験値を含め、すべてを糧にしていってくれるでしょう。

 

私の尊敬する舞踊家にして振付家である金森穣さんの著書『闘う舞踊団』の結びに、こんな一節がありました。

少し長くなるけれども、引用します。

「舞台に立つということは、何百人もの生身の人間の眼差しに直にさらされるということだ。これは舞台以外では味わえない体験だ。Instagramに一億人のフォロワーがいようとも、かれらは『いまここ』にはいない。自撮り動画では自信たっぷりに自分を表現できる人が、わずか100人の観客から200の眼で見つめられた瞬間、実力を出せなくなる。それが舞台というものだ。生の人間がそこにいる、見ているというエネルギーはそれほどに強烈だ。そしてそのエネルギーによって光る人のことを、舞台人と呼ぶ。

そういう人は、自分の身体、その踊りを人前に晒すことに恥じらいがある。だからこそ真摯に稽古を続け、自分の身体の短所や弱点と向き合い続ける。その鬱屈した熱量、精神の煌めきのようなものが、舞台では光となるのだ。恐れを抱き、恥じらい、それでも踊ることでしか生きていけない。そんな矛盾を抱える人が、まるで太陽光を受けた月が発光するかのように、眼差しという光を受けて輝く。それが舞台という場なのだ。」

3万人を超えるさいたまスーパーアリーナを埋め尽くした観客の双の眼差しを一身に浴びて光り輝いた哉中さんと大輔さん。間違いなく二人は、「舞台人」と呼ばれるにふさわしい。

とりわけ自分の身体に自信がないなどと言い続けてきた大輔さんは、既に舞台(フロア)でも光り輝くことを証明済みですよね(^_-)-☆

 

大輔さんと哉中さんの輝かしい未来に、幸あれ。