「氷艶」初演から二周年記念・衣裳から読み解く「氷艶2019」(2)~松浦と咲風~ | 気まぐれデトックス

気まぐれデトックス

基本、デトックス目的のブログです。
アメンバーの承認は、直接の知人、もしくは高橋大輔選手ONLYファンとわかるプロフィール設定をしておられる方のみとさせていただきます。

都にフランス革命を!

 

ナニ言ってんだコイツ?な一言から始めてしまいました^o^;A

もちろん、今年の一月に亡くなられた橋本治さんの名著「江戸にフランス革命を!」のもじりですが、「源氏物語」といえば実は橋本治一流の艶麗豪奢傲慢なる「窯変源氏物語」をこよなく愛する者として、つい。。。

 

というのが、今回採り上げる明石の浦の海賊の長・松浦とその妹咲風のお衣裳に、フランス革命の色を見たから。

 

松浦・咲風姉妹の「名前」についても、読み解きたいことがあるのですが、それは別稿に譲ることにして、本稿の主題である「衣裳」に、まずは着目していきます。
 


まず目を惹くのが、独特のこの文様。アイヌの民族衣装、それもハレの衣裳に用いられる、独特の文様になります。

 


これ↓は私が昔集めた新聞の切り抜きですが、いつからこーゆーもんが好きなんだ?っつーと、そりゃ子どもの頃から、というべきでして、三つ子の魂百までってヤツですね^^

 

あはは。


アイヌ民族の衣裳を原典とした舞台衣装を、「氷艶」の衣裳を担当されている堂本教子さんは、歌舞伎NEXT「阿弖流為」でも用いています。
ヤマトに虐げられる北方の民族・蝦夷の衣裳として。
アイヌ民族は大和民族から「蝦夷」と呼ばれ、東北地方北部においても栄えていたといいますから、これは歴史・時代考証に基づいた衣裳です。


一方で、明石の浦にアイヌ民族が居住していた可能性はあまり高くなさそうなので、ここは、明石の浦の海賊達に、「中央の権力によって虐げられる先住民族」の色合いを持たせたかった、ということになろうかと思います。





さらに、茶褐色の肌と、同じく茶色い髪、色鮮やかな多色の細かいビーズをふんだんに使った装身具。
松浦は「男」ということになっているので、あまり飾りは身に着けていませんが、咲風↑は、娘らしくたくさんのアクセサリーを着けています。
それらは、レゲエ・ミュージシャンが身に着けているアクセサリー類を想起させますね。

私は音楽音痴なので、レゲエについて語ることはできませんが、レゲエが「社会的に抑圧されたものの抵抗」をベースにしている音楽であること、有色人種として差別される側にあったジャマイカの人々の、ソウル・ミュージュックと位置づけられるものであることは、なんとなく知識としてあります。
父祖の地としてのアフリカ回帰を思い、抑圧する支配階級への誇り高い抵抗を秘めた音楽と、それを歌う人々の身に着けるアクセサリー。


そして、繰り返しになりますが、衣裳の基調となる色彩は、黒・藍(青)・生成(白)・褪赦色(赤)です。
この内「黒」を背景色として除外すると、青・白・赤。

自由・平等・博愛です。
ザ・フランス大革命であります。
同じ配色はロシア国旗でも用いられていますが、ここはなんとしても「フランス」でなければなりません。
なんといっても、松浦を演じるのは、宝塚出身の柚希礼音さんです。
宝塚ファンの方からは叱られるかもしれませんが、あまり宝塚に詳しくない、私のような一般人にとって、宝塚の舞台、と言われてぱっと思い浮かべるのは、やはり「ベルばら」であります。
「男装の麗人」オスカル様といえば、私にとっても幼少期、憧れの君でありました♡

 

女の身で、男として育てられ、海賊の長となる松浦。

フランス王家に仕える将軍家の六女に生まれ、男子として育てられ、近衛隊長に昇り詰めるオスカル。

連想するな、という方が無理ってもんです。

男役トップでいらした柚希さんご自身は、オスカルを演じたことはおありでないと承知の上で、やはり、やっていただきたいシーンがあるんですよねー。(もはや妄想ですらなく、願望ですな)
クライマックスの、バスティーユ監獄へ向けて立ち上がる、あの凛々しいオスカル様。
銃弾に倒れ、「フ・・・ラン・ス・・・、ばんざ・・い・・・!」と呟いて天に召されるオスカル様を。


・・・と、ここまで書いてくると、もう、作り手の意図は明白ですね。
明石の民=誇り高い先住民、都への抵抗運動の象徴
三重にも、その意味をかぶせているんですから。
衣裳の基調となる青は、自由を象徴する色=明石の浦の海の色でしょうか。


大輔さんが、皇子・光源氏としての宣伝写真撮影時に、鬘を用いていた、ということと、髪を伸ばすようにしている、ということの矛盾が、これでなんとなく解けたような気がしたものです。
大輔源氏は、「氷艶」の劇中、おそらく後半で、都への抵抗勢力として立ち上がる。

その時、彼が都人然とした装いでいて、果たして「ハマる」ものだろうか?と。
せっかく「スケートと殺陣は相性が良い」と「氷艶−破沙羅−」で目覚めたのですもの。

ここは、刀を手に大活劇、血沸き肉躍る華麗なる殺陣を披露していただかねば。
その為には、ぞろっとした平安貴族のお衣裳は、向きません。
明石の民の一員として、明石の民と同じ扮装で、都へ攻め上がるべき。
アットゥシを思わせるアイヌ民族風の衣裳に、浅黒い肌、乱れ髪を潮風になびかせて。

そういえば、「氷艶」の光源氏のお衣裳の基調色は、白、銀、青。

青は海に通じると同時に、海の青を映して深まる、夜の空の濃紺にも。


和装もとてもよく映り、JAPAN STYLE↓などでは、これぞ美なる大和男児、といった風情を見せる大輔さんですが、

 

LOTFでアメリカン・ダンサーズの中に一人混じってもほとんど違和感のなかった彫りの深いくっきりした目鼻立ちは、「レゲエな源氏」となっても、きっと素晴らしく映えるはず。
 

 

浅黒い肌に、大きな目の白目部分が鮮やかに引き立ち、眼光鋭く白刃を振るって切りかかる先にいる筈なのは、そう、朱雀帝=ステファン・ランビエールです。


なんて素敵な逆転現象でしょう?
西洋人であるステファンが、大和民族の頂点に立つ帝として、格調高い宮廷衣裳に身を包み、
日本人の大輔さんが、アイヌとジャマイカの民族の香り漂う衣裳で、大和への抵抗勢力として対峙する。
(言っておきますが、単なる妄想です)

その時、額田王なる紫の上は、どのようななりで、源氏の、あるいは帝の傍に立つのか。
この続きは、また別稿で。


本当に、開幕が待ちきれませんね♪

 

 

アーカイブ神戸チャリティリンク用バナー