六月大歌舞伎 第二部に芝居見物。四月の上の巻を見物したからには下の巻を見ないわけにはまいりません。しかし、チケットが四月以上にありませんでした。土日はおろか平日でも端の方です。一般発売時にはほぼ札止めだった由。

渡辺保さんの劇評「仁左衛門の清玄と権助の二役に大詰の大友頼国、玉三郎の桜姫で、四月の上の巻よりもさらに充実して、戦後歌舞伎の代表的な名舞台の一つになった。という理由は、二人の芸が円熟した結果、人物像が鮮明になったばかりでなく、南北の戯曲の構造、その意味するところがこれまでよりも鮮明になったからである。」に尽きます。敢えて、蛇足を加えれば、玉三郎丈がお姫様言葉と風鈴桜姫の蓮っ葉な言葉を使い分けるのがお見事でした。勿論、仁左衛門丈の弱っちい清玄と悪の華:権助の演じ分けも。
大詰めで、仁左衛門丈、玉三郎丈、孝太郎、錦之助、福之助が並び、主役二人の挨拶では拍手が鳴りやみませんでした。見物出来て良かった。
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座席は 13 列の 38 番、40 番でした。
そうそう、権助が「(刃物を)すてきに切れる」とかヘベレケで帰宅したときに「(八百善の仕出しで)すてきに呑んだ」と言います。「すてき」とは、程度の甚だしいさまをいう由です。この用法、使っちゃおう!
【 本日の演目 】
一、桜姫東文章(さくらひめ あずまぶんしょう)
下の巻:序幕、二幕目・大詰
清玄/釣鐘権助
大友頼国 仁左衛門
粟津七郎 錦之助
葛飾のお十 孝太郎
奴軍助 中村福之助
判人勘六 橘三郎
長浦 吉弥
残月 歌六
白菊丸/桜姫 玉三郎