日テレの調査報告書は大量でした。

https://www.ntv.co.jp/info/pressrelease/pdf/20240531-2.pdf

 

読みながら、メモしておきたいところを自分のために抜き書きしておきます。

 

でも私が気になったところ、初めて知ったことの、主観的な「客観的抜き書き」ですので、セクシー田中さん問題が気になる方は、全文読むことをお勧めします。

 

A氏=日テレ側(おそらく、メインのプロデューサーと思われる)

C氏=小学館側

 

2023.3.9(p9)日テレ×小学館(対面)

・2023年10月期か、2024年1月期かと日テレ側が提示し、小学館側は「原作者の原作への想いの強さ、未完の作品なので最終話付近の制作がセンシティヴになることを考え、 2024年1月期を希望した」

 

2023.4.25(同)日テレ×小学館(対面、企画会議)

「日本テレビは関係者のスケジュール等を総合的に判断し、企画決定会議で同年10 月期とすることを決定」

・「A 氏によると小学館からは、未完部分はドラマオリジナルのエンドでよい、という話であった」

「小学館は、未完部分は原作に影響を与えないよう、原作者が提案するものをベ ースにしたドラマオリジナルエンドで良いという趣旨で言った」

 

2023年4月上旬~(p11)

・「原作者がNG といった候補 はキャスティングから外した。

 

2023.4.15(p12)日テレ×脚本家(対面)

「本件脚本家が A 氏に対し、本件 原作者のドラマ化に対する姿勢を聞いたところ、A 氏は「難しい人」(こだわりが強い人)と聞いている旨述べた。本件脚本家は「難しい人(こだわりが強い人)かー」 とは言ったものの、原作が大変面白いので原作を大事に描きたい、こだわりが強い人のほうが良いドラマができると思うのでがんばりましょうという旨述べた。なお、当調査チームに対し、本件脚本家は、この時点でA氏からは雑談で「難しい人(こだわりが強い人)」という話はあったかもしれないが、明確な説明はなかった、自分は原作者との間に揉め事が生じるのは嫌なので、この時点でもし「難しい人」と説明され ていたら、必ず「どの程度難しい人なのか」「改変がどこまで許されるのか」等、詳細の確認を求め、その上で執筆を引き受けるか慎重に判断したはずである旨述べている」

→日本語がおかしく、結局、「原作者は難しい人だ」と、最初から脚本家に説明していたのかどうかわかりません

 

 

2023年7月~(p13)

「本件脚本家の記憶では、最初の本打ちの際、本件ドラマ全体の方針や軸となる部分について協議し、本件脚本家から女性 2人(朱里・田中さん)のシスターフッドの要素を取り入れることが提案され、それを一つの軸とすることになった。」

「A 氏は、原作を大事にしようという思いを持ちつつも、ドラマ化にあたっては、尺、撮影、連続ドラマ としての1話ごとの盛り上げ、実写化するにあたり実在する俳優の演技・セリフ、 実写化にあたってのロケや予算等の制約、スポンサーへの配慮等による原作の改変は発生すると考えていた。当調査チームへのC氏の書面回答によると、過去にドラマ化経験がある本件原作者もそれらは理解していた、ということであった。」

→「セクシー田中さん」のみどころはシスターフッドだ、と書いた言説がありました。でも脚本家が提案というより、漫画でもそうだったので、脚本家がそこを特に強調したいということだったと思います。でも、結果的にそれが当たったんですよね。

 

(p14)

「本件原作者が譲れない点については意見のとおりプロ ット及び脚本を修正しており、本件原作者の許諾がないまま放送したシーンはなかった。」

 

2023年9月11日頃(同)

本件原作者の指摘は(略)本件脚本家にとっては厳しい口調であってそのまま読むのはつらくなったことから本件脚本家は同年 9 月11 日頃、A 氏に対して本件原作者からの指摘をそのまま送るのではなく、伝えるべきものを咀嚼してから伝えるよう依頼した。」

 

ドラマ化初期段階(p15)

「C 氏が本件原作者に対し、本件脚本家に直接会って伝えるかと聞いたところ、本件原作者は実際に脚本家に会うと言いたいことがはっきり言えなくなってしまうから会いたくない、と答えたということであった」

→脚本家と原作者が会わないのはおかしいって論調がずっとありましたが、原作者が会いたくなかったということだったんですね。メールの方が言いたいことが言えるっての、わかる気がします。

 

2023年4月か5月?(p16)

「「10話ラストに向けたドラマ版構成案」についての本件原作者の意見も同年 5 月 19 日にメールで返ってきたが、朱里の将来がメイクの道に進むこと、ドラマ制作サイドが提案したダンスインストラクターに進む道は、朱里が田中さんに依存に見えてしまうのは絶対に避けたい、というコメントがあった。」

→ここも日本語が変だが、あのへっぽこダンスを、めるるに踊らせていた日テレ側がダンスインストラクターに進むなんて提案をしていたなんて、驚き。メイクの道でよかったです。

 

2023.8.3(p17)

「 C 氏を通じて本件原作者から 1~3 話脚本の修正意見がきて、一部には「マルっと入れ替えて戴けたら」というコメントがついていた」

「同月 9 日に、A 氏はC氏に 1~3 話の修正した脚本をメールで送り「半分以上そのまま修正致しましたが、こちらも修正したくない箇所もあり、その箇所は先生の 修正意図を汲み取りながら修正させて頂いております。『全部抜いて』『丸っと入れ替えて』などではなく、今回の方向性で判断して頂けますと幸いです。」とのメッセージを添えた。」

→これは、私が脚本家でも、屈辱でしょうね。こういう積み重ねがあったのですね。

 

2023.6.14(p21)

「本件脚本家に読んでもらうには少々憚られる内容であるが、推敲するとわかりづら くなってしまいそうなので、というコメント付きで「脚本懸念点について」というタ イトルで本件原作者の言葉通りそのまま Word 文書にしたものをメールで送ってきた。 そのWord 文書では、オリジナルのセリフやり取りが挟まっている点について、冗談とはいえ、ふつーに感じ悪いなと思ってしまう、一連のセリフの流れが意味不明、こんな短いシーンでも理論立てて説明できないキャラの言動の不一致が起こってしまう、他人をディスる言葉の扱い方と、文脈やキャラの言動の破綻が気になる、切り貼り挿入も前後の意味が繋がっていない等と指摘のうえ、「原作があるうちは、失礼だと思いつつ事細かに指摘して修正してもらうことも可能だけど…、オリジナル展 開の 9 話 10 話で、収拾つかなくなっちゃうんじゃないかと、不安に感じてます。」と記載されていた。

→この前段階に、4話からもめ始めたということが書かれています。私はドラマ1~4話は削除してしまって、この原作者の指摘が何だったかわかりませんが・・・そんなへんだったことあったのかな?

 

2023.7.10(p22)

「本件ドラマ7話中の小西と朱里の喧嘩のシーンを盛り上げるか盛り上げないか(制作サイドはドラマ的に盛り上げたい)、朱里が田中さんにメイクをしたが老けメイクとなり失敗するシーンをカットするか(制作サイドは、該当女優の肌がきれいすぎるため映像ではうまく表現できない等の理由でカットしたい)等で制作サイドと本件原作者でせめぎ合いがあった。本件原作者によると、小西と朱里の喧嘩のシーンは、相手を disる言葉がいつも極端に無神経すぎて、幼いし大人としてくだらなさ過ぎるように思うということであった。」

 

2023.7.10(同)

「メイクをめぐって同月30 日、C氏からA氏らに宛てたメールにて、キャスティングの段階で、該当女優に40 歳の田中さんを表現できるのかが最も懸念事項だったが A 氏が「メイクと演技で大丈夫と言ったので、ぜひとも実現してほしい旨述べている。これに対し、A氏はもし当初から懸念が示されていたとすれば、必ずキャスティングの前に実際にメイクを試しているはずであって、キャスティング時にそのような指摘はなかったとして、双方の見解には隔たりがある。」

→やはり木南さんのキャスティングには無理があったのね。美人過ぎて、若すぎて。そして、骨格、背の高さから見ても、原作漫画の田中さんとは遠く隔たっていました。でも、前述したように、原作者は、木南さんに異を唱えなかったのです。日テレ側だけの責任とも、言えないと思います。

 

2023.9.24(p25)

2話の尺が足りず、追加脚本を原作者が送ってきたこと等について「C氏から(略)原作者は「難しい」作家であり、これ以上押せば全てをひっくり返す騒ぎになりかねないこと、本件原作者が本件脚本家の書くものが耐え難い、別途 Huluで配信予定だったスピンオフ作品も取りやめると言い出していること、2話追加台本の修正のことで8〜 10 話も一言一句絶対に変えないでと更に強固になってしまったので、何とか折り合いをつけてほしい、コントロールが効かず、大変不甲斐ない話ではあるが(略)とメールで言われ、A 氏も同意せざるを得ず、C 氏にその旨メールにて返信した。」

→どんなひどい脚本だったのだろう・・・でも、ベテラン脚本家なんですよね・・・?

 

2023年10月上旬(同)

「C氏を通じた本件原作者の撮影シーンに関する問い合わせに対し、A氏は既に当該シーンは撮影済みである旨回答を行ったが、実際の撮影は 5日後に予定されており、 そのまま予定通り撮影が行われた。その後、これらの経緯を本件原作者が知ることになった。」

→まだ撮っていない、と言えば、また、原作者の意向通り改変して撮影しなければならないので、日テレ側としてはそれは避けたくて、「もう撮った」と言って、原作者を黙らせたということになります。たしかに、ここだけ取り上げるとひどい話。…でも、ここまでの過程を綿密に見てくると、日テレ側に同情してしまいたくなるのは、日テレ作成の自己弁護報告書だからでしょうか。(でも結局バレて、撮り直しとなった=原作者の失望はさらに深まった)

 

2023.10.21 (p30)

(ここまでの間に、日テレ側と小学館側で、度重なる、脚本を送る→ダメ出し&一字一句替えるな→それでは脚本家はただの書き起こしロボットになる→・・というやり取りがある)

「C 氏からA氏を外して B氏に本件原作者が以下概要のとおり言っているというメールによる連絡があった。

 ・ 脚本家は今すぐ替えていただきたい。

・ 最初にきちんと、終盤オリジナル部分は本件原作者があらすじからセリフ まで全て書くと、約束した上で、今回この10月クールのドラマ化を許諾した。 

・ この約束が守られないなら、Huluも配信もDVD化も海外版も全て拒絶する。 

・ 本件脚本家のオリジナルが入るなら永遠にOKを出さない。度重なるアレンジ

で何時間も修正に費やしてきて限界はとっくの昔に超えていた。

 ・ B氏が間に入ったというのを信頼して今回が最後と思っていたが、また同じだったので、さすがにもう無理である。」

→この辺は、すでに出尽くしている、原作者の言い分の通りです。

 

2023.11.1(p31)

「同月29 日、C 氏からA氏に本件原作者が作成した 9,10 話の脚本がメールにて送付された。同年 11 月 1 日 A 氏はこれを本件脚本家に見せ、制作サイドで作成した脚本は認められないこと、自分も大変憤っているがこれをのまないと放送できない旨を伝えた。本件脚本家にとっては青天霹靂のことであり驚愕したが、A氏にこれを受け入れないと本編放送及び二次利用についてもすべて差し止めると小学館から言われているので受け入れてほしいと懇願され、本件脚本家はやむを得ず、A氏に対し 9,10 話の脚本を降りる旨告げた。」

→プロデューサーたるもの、「自分も憤ってるが」などと言うとは言語道断と、デイリー新潮に批判されている部分です。(まあでも、最初の方に書いてある、朱里がかわいい制服の私立に行きたかったがやめた、というところを変えたのがさも問題のように書いていますけども・・・・、ほんと、取り上げることすらどうでもよくて、ドラマ観てたのかなあ?って突っ込んでしまいました…私。もしそうでも、ドラマの良さにはまったく関係なかったと思う)

 

このあと、原作者や脚本家のクレジットについて、法的措置にまで発展していることがつづられています。これは初耳でした。クレジット表記というのは大変な話なのだといまさらながらに知りました。表記がないのは「おろされた」ということになり、脚本家にとっての何よりの屈辱と言えましょう。これはp33~38に詳細。

 

改変内容の、原作者からの具体的な指摘(p46)

「・ 笙野「そんなに男に見られたいわけ?」はわざと傷つけようとしている感じでキツすぎる 

・ 3 話はエピソード順番入れ替えのせいで流れがわるくなっててとても読みづらいです 

・ 間に朱里&進吾ネタがぶち込まれちゃってるので、流れが途中でブチ切れちゃってて非常に勿体ないです

 ・ エピソード順番入れ替えて切り貼りする事で、キャラ達の絆が自然に深まって行く過程や、それぞれのエピソードの効果的な魅せ方が邪魔されて。チグハグになってしまってる」

(p51)

「・ 5/2 1 話プロットについて、朱里のキャラクターについて(ただの可愛くて軽い女に見えないようにしてほしい)の指摘。 

・ 5/19 2,3 話プロットについて、キャラクターを好きになってもらうために、 各エピソードが綿密に構成されているので、やむを得ない場合以外はできるだけ、原作の流れを崩さないで頂けたら。

 ・ 6/11 4 話プロットについてエピソードの順序を変えるならキャラブレしないように、もしくは出来る限り原作通り、丁寧に順番を辿っていって頂けたら。 

・ 7/1 4 話修正プロットについてエピソードの順番を原作どおりにする旨指摘。

 ・ 7/5 3 話脚本について、セリフにアフターピルをしっかり入れてくれという指摘。 ・ 7/5 6 話プロットについて、原作からアレンジしてある部分が不自然、キャラの言動が幼すぎる、今後の流れに影響するから NG という指摘。 

・ 7/15 7話プロットについて、朱里と小西のアドリブセリフは全てアウトの指摘。メイク失敗話を端折らないでほしい旨の指摘。 

・ 9/10 ツッコミどころの多い辻褄の合わない改変がされるくらいなら、しっかり、原作通りの物を作って欲しい旨のメール

→アドリブって、だれのアドリブ?逆に見たかったわ

 

検証部分。(p63)

「本件原作者はドラマ化に支障が生じる必要最小限の修正のためのものしか認めず、制作サイドの創作の余地をほとんど認めないという対応に終始した。この間のやり取りは、本件原作者、制作サイド(本件脚本家含む)ともに、相当のストレスや困惑を生むこととなったと推察される。そして、ここで生まれた決定的な溝が、本件脚本家の降板要求などの問題に繋がっていくことになったと考えられる。」

 

(P72)

「上記 A)B)(脚本家)の投稿 により、“原作者のわがままで脚本家が辛い経験をした”という誤った情報が 一方的に広められている状況であると認識し、何かしら反論せざるを得ない状況に追い込まれていると感じた。また、関係者のヒアリングによれば、本件原作者は、1 話から 8 話までは、自身が何度も大変な思いをして修正した、に もかかわらず評判が良かったのが脚本家の手柄にされ、9,10 話が駄作と言わ れて自分のせいとなるのが許せないとの気持ちも持っていたという。」

 

(同)

「B 氏は、2023 年 12 月 6 日、本件脚本家と面会した際、本件脚本家から、事の経緯について SNS に投稿することを示唆され、SNS 等で制作の裏側を書くのは適切ではないと思ったが、本件脚本家個人のSNS における投稿については個人の表現の自由もあり、日本テレビが無理に投稿を制限することはリスクがあると考え、当該投稿を止めるよう依頼することはしなかった。」

 

 

これまでの流れ、日テレ側が言いたいことはよくわかりました。新たな事実、クレジット表記という、著作権問題が絡んでいたことは、かなり重いと思います。

 

デイリー新潮で、日テレは原作者の自殺の究明に向き合うことをしていない、こんな報告書じゃだめだ、と断じていますが、これが限界ではないでしょうか。全ドラマを視聴し、全8巻の漫画を読み、日テレの全文を読んだ私には、そう思えますけども。

 

私は、一番知りたかったのは、「脚本家の当初の脚本」ですが。脚本家の出してきた脚本の、どこがダメだったのか?ってことですが(それが、どれだけ漫画とは違うモノだったのか?、具体的に知りたかった)。

 

確かに、自殺の直接原因というのは、原作者の投稿から「傷つけるつもりはなくて、ごめんなさい」という削除までの間に、何があったのか、です。それも、書いてありませんでした。(でも、ネットで言われているように、この騒動になり、日テレとか誰かから、何かを言われたわけではないと思いますが・・・)

 

自殺とはうつ状態という病態になっていて、そこから突発的に起こすものなので、少なくともこれらのやり取りから、原作者はうつ病態に追い込まれてしまったのだろうということは、わかりました。

 

と同時に、脚本家も、うつ状態になっていてもおかしくはなく、あれほどに糾弾されてきて、大丈夫かと心配になりますね。

 

A氏というプロデューサーについても、いろいろ問題もあるとは言え、原作者の意向を尊重しようとかなり苦心しているのが見て取れて、私は、同情しています。