那須で7年前に起きた、高校生ら8人の亡くなった雪崩事故について。
先日、判決が出ました。
量刑は半分にはなりましたが、執行猶予がつかず、当時の引率教師ら3人は刑務所に入ることになりました、これまた、あの日の雪のようにどっしりとした重い判決。
判決の要旨を読みましたが、私の疑問は解決されないし、いろいろはっきりしないことも多いままでした。
1)雪崩が起きた原因は、解明されていない
先生3人が止めなかったのを、実刑にした理由とはしています。が、どうして雪崩が起きたのかには言及されていません。
イコール、再発防止策もわかりません。
「30センチ超の積雪があったとされるが、それなのに訓練を強行した」ことについての罪であり、その再発防止策としては、「訓練をしない」という選択肢しかありません。
今後、雪山登山等をする、多くの人たちのためにはなっていないということです。
今回は教育現場の話なので、仕方のないことではありますが・・・
2)大野病院事件(産科医が逮捕され、のちに無実となった事件)と似ている
この事件は、医療現場が委縮する、医師がリスクを取らなくなるという転換点になったと言われています。
これも、そういう流れになると予測します。部活やるのはリスクだよなぁってなる。
3)「止めたのに生徒が強行した」という被告側の言い分は、完全否定
同行し、生還した生徒たちからも証言を得ている上でのことです。
県内強豪の大田原高の部員を、ライバル校で最近躍進する真岡高の先生が止めることができなかったというのは、目に浮かぶようですが・・・。
「教育者が言い訳するのは、断じてならぬ」という意見は、厳しすぎると私には思えます。
4)通常の部活ではなく、他校の部員も指導する講習会であったことが、世間にはあまり理解されていない
「大人は子供を守るもの」と、同行していた部員の方がインタビューに答えるのをテレビで見ました。また、「先生は本当のことを話してほしい」という意見も、彼らのはしています。ということは、やはり被告側は、「積雪15センチ程度だった」などと、虚偽の証言をしているということになるのかもしれません。先生側と部員側との間で、(自校、他校ということもあり)信頼関係がないように思えます。
これが、数校参加型の講習会ではなく、通常の「部活動」だったら、顧問と生徒の間で、そういう行き違いはなかったのではと考えます。でも、この事件の大きさから、「部活動内の事件」と、世間には流布してしまいました。不幸な話です。
5)ほんとうに「人災」なのか、システム上のことではないのか?
大野病院事件でもそうですが、罰せられる=人災の場合、「その人以外の人がやったら事故は起きなかったこと」と、私は理解しています。
この3人以外の先生が指導していなかったら事故は起きなかったのか、その辺がわかりませんでした。人災という言葉はそのぐらい強いと思っています。
蛇足ですが、朝日新聞で「控訴しないで」的な見出しを見ました。遺族が言うのはわかりますが、それを見出しに取るセンスは、さすが朝日新聞ですね。被告人の権利ですよね?控訴ってのは。