都立園芸高校の先輩で、稲城市の果樹栽培農家「川清園」川島実氏に、私と園芸高校果樹担当先生と二人で梨栽培の取材に行って来ました。
昨年8月に中国での火傷病発生を受けて、ナシの受粉に使う中国産花粉の輸入停止で、全国の果樹農家は大変な騒ぎになっていました。
中国からの受粉に使う花粉が入ってこない中、川清園は輸入花粉は使わずに自家受粉でナシの交配を行っています。
その事は農業雑誌「現代農業」他で伝えられ、全国の果樹農家から問い合わせが殺到し、希望者へは花粉を取る花粉樹の穂木を無償分けています。
川清園で使う受粉樹の逸話は、川島実氏が1993年当時ネパールで農業指導と教育活動をしていた園芸高校の同級生菊池氏の誘いを受けて、現地の視察をした時にカカニ村付近で野生の梨を発見し、枝を持ちかえり接ぎ木して育てたところ、日本の梨よりも一か月早く花が咲き驚きと「受粉樹として使える」と確信したという事です。
その後正式な手続きの為に2005年に再度ネパールを訪問して、同じ木の枝を持ちかえり、成田空港の植物免疫所で病虫害を調べる隔離検査に出して、2年後に植物検査合格証明書とネパールナシ6本を受取し、大切に育て花粉樹「ネパールミノルA・B・C」と命名し現在に至っています。
花粉樹の穂木は無償で送りますが、「ネパールミノル」の利用料の厚志は公益財団法人日本農業研修場協力団(JAITI)ジャイチに寄付をしています。
川清園の梨農場は、北側に風よけの垣根仕立てで花粉樹を育て、周りにはラズベリー&ボイセンベリーを植えて輻射熱を遮って栽培していました。
今はウメの収穫時期で忙しい中にお邪魔しましたが、果樹栽培に対して貴重なお話が聴けて、大変有意義な取材が出来ました。
川清園がある稲城長沼駅
ネパールから持ち帰ったネパールナシ
梨畑北側で風よけで垣根仕立ての花粉樹
道路の輻射熱を抑えるラズベリー&ポイセンベリー
ポイセンベリーの実
梨畑品種「稲城」
まだ小さい実
稲城梨の始まり原種「淡雪」の木
実ったウメの実
ウメの収穫時期
撮影は、ライカV-LUX30