あやめ十八番 第十八回公演
草創記『金鶏 一番花』
公演概要
2025年9月20日(土)〜28日(日)
東京芸術劇場シアターイースト
STAFF
脚本・演出:堀越涼(あやめ十八番)
音楽監督・作曲:吉田能(あやめ十八番)
舞台監督:土居歩(7th FIELD)、藤田有紀彦
照明:南香織(LICHT-ER) 照明操作:男山愛弓
音響:田中亮大(Paddy Field)
照明操作:角田里枝(Paddy Field)
美術:久保田悠人 大道具:俳優座
衣装:熊谷有芳(アガリスクエンターテイメント)
衣装助手:中野亜美(あやめ十八番)
衣装協力:花組芝居、原ちゃん落語、藤田友
ヘアメイク:新妻佑子
ヘアメイク協力:吉村幸
演出助手:渡邊力(PAPALUWA)、今井未定、新井彩
稽古場代役:黒田和宏、平野紗貴
宣伝美術:[デザイン]吉田能、[切り絵]田畑諒、[題字]玲彩
写真撮影:下田直樹
パンフレットデザイン:荒川久忠
映像撮影:舞台映像カラーズ
CM撮影:吉田悠 制作協力:大森晴香(SET)
票券:大森茉利子(あやめ十八番)
受付:内田靖子 制作助手:伊勢晴名
主催・企画・製作:あやめ十八番
CAST(彗星)
桂憲一[花組芝居](工学者、日本のテレビジョン開発の第一人者・金原賢三(老年期))
今村美歩(少年期の金原賢三)
宮原奨伍(青年期の金原賢三)
藤吉久美子[青年座映画放送](賢三の母・金原マツ)
中野亜美[あやめ十八番](賢三の遊び相手・さち)
藤原祐規[アミュレート](歌舞伎役者、駿河屋・坂東天鼓(本名・清水邦正))
北沢洋[花組芝居/賢プロダクション](歌舞伎役者、天鼓の父・坂東天五郎)
小林大介[花組芝居](駿河屋の弟子・坂東文七/伍長、天鼓の上官・大蔵大和)
金子侑加[あやめ十八番](宋国稲荷の狐/光子の弟子、見習い脚本家兼女中・久連子益次郎)
千綿勇平(歌舞伎役者、筑波屋・伊勢友之助(本名・尾長隼人))
八代進一[花組芝居](歌舞伎役者、友之助の父・伊勢勘十郎)
中込佐知子(友之助の母、キネマの脚本家・尾長光子)
小口ふみか(友之助の姉・尾長さなえ)
佐藤弘樹(軍医中尉・対馬勝明)
谷戸亮太(衛生一等兵、元・日本放送機構、音楽部プロデューサー・徳地達平)
藤尾勘太郎(一等兵、元・工学者・佐渡玄太)
高村颯志[家のカギ](野戦軍楽隊、トランペット・雁部保)
吉田能[あやめ十八番](野戦軍楽隊、ピアノ・伊佐健司)
島田大翼[オペラシアターこんにゃく座](野戦軍楽隊、アコーディオン・声良智樹)
新井秀昇(野戦軍楽隊、ユーフォニアム・三河直人)
杉田のぞみ(野戦軍楽隊、ヴァイオリン・相良康彦)
家入健都[avenir'e](同級生 ほか)
土屋杏文[青☆組](玄太の妻・佐渡文香/同級生 ほか)
森本遼(社内アナウンス ほか)
松井愛民(家政婦 ほか)
STORY
明治の終わり、まだ誰も見たことのない「テレビジョン」という夢を追い続けた一人の青年がいた。それは、浜松に住む母に、東京の歌舞伎を見せてやりたいという、小さな願いから始まった。第二次世界大戦下、南方の戦地に赴いた若き歌舞伎役者がいた。命の瀬戸際にあっても芸術に触れようとする兵士たちの思いに突き動かされ、彼は一度諦めかけた芸道への復帰を決意する。時代は、二人を引き合わせる——。一人は「芸」を、一人は「夢」を、未来へと繋ごうとした。 両者の思いが重なり合う時、金鶏は、新しい時代の夜明けを高らかに告げる。【公式サイトより】
概評
7月上演の音楽劇『金鶏 二番花』に続いて日本のテレビ黎明期を描くあやめ十八番新作公演。期せずして『STAGS and HENS』と鶏はしごとなった。
青年期の金原博士と坂東天鼓のみタブルキャストで、宮原奨伍さんと藤原祐規さんが入れ替わりで演じる。
舞台は左右から段々になり、中央が一番高くなっている。周囲には木材があり、下手奥には野戦軍楽隊の面々。手前は地面の下に下がっていく形。
物語の主軸となるのはテレビと戦争と歌舞伎。
第一幕は前作にも登場した日本におけるテレビ開発の第一人者・金原賢三(モデルは高柳健次郎博士)が幼少期のテレビ開発を志すきっかけや幻に終わった東京オリンピックに向けてNHKに出向して開発にあたった経緯などが語られていく。
第二幕は歌舞伎役者の坂東天鼓と伊勢友之助の話にシフト。召集された天鼓が赴任したスマトラ島で、軍医の対馬の発案によって慰労のために『白浪五人男』が上演されることになる顛末が描かれる。
元花組芝居の堀越涼さんは歌舞伎を題材にすることは避けてきたが、劇団名も歌舞伎十八番から取っていて第18回公演ということもあり、先代中村雀右衛門さんの『私事』を参考に本作を書き上げたとか。
その一方で、映画の脚本家をしている友之助の母親の弟子・久連子益次郎を巡る物語も展開。益次郎は弟子入りの際、友之助の姉・さなえに映画スタアである弟に近づくためではないかと疑われ、女を捨てたという人物。こちらの方はなかなかビターな結末を迎えるのだが、母親に歌舞伎を見せたいという思いが結実するラストは晴れ晴れとした気分にさせてくれた。
金子侑加さんは狐と男装の脚本家志望者というどちらかだけでも手一杯になりそうな二役を見事に切り替え、圧倒されるばかり。
中野亜美さんは登場時から異質な存在で金原博士にしか認識されていないことは分かるものの、その正体は二幕になって判明。だから赤と白の衣裳なのかと納得。さほど見せ場があるわけではなかったけど、「ミネソタの卵売り」はよかったな。
今村美歩さんの少年役はハマり役。藤尾勘太郎さんは兵士姿になると特に半海一晃さんに見えて仕方なかった。笑
上演時間2時間45分(一幕1時間26分、休憩11分、二幕1時間8分)。