『ドグラ・マグラ』
DOGRA MAGRA
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1988年日本映画 109分
脚本・監督:松本俊夫
脚本:大和屋竺 原作:夢野久作
プロデューサー:柴田秀司、清水一夫
撮影:鈴木達夫 美術:木村威夫、斉藤岩男
音楽:三宅榛名
照明:海野義雄 録音:菊地進平
編集:吉田博 助監督:佐々木伯
製作担当:長田忠彦 特殊造型:江川悦子
視覚効果:中野稔(デン・フィルム・エフェクト)
出演:
松田洋治(呉一郎)
桂枝雀(正木博士)
室田日出男(若林鏡太郎博士)
三沢恵里(呉モヨ子)
江波杏子(モヨ子の母・呉八代子)
小林かおり(一郎の母・呉千世子)
森本レオ(新聞記者)
灰地順(仙五郎)
渡辺文雄[友情出演](警察署長)
飯島大介(刑事)
北見治一(大学の小使)
ホリ・ヒロシ(人形)
辻伊万里(老婆)、北村魚(看護婦長)、いか八朗(患者・軍人)、フランケン赤坂(患者・力士)、長江英和(患者・大男)、宮崎織砂(患者・少女)、金井勝(患者・農夫)、大和屋竺(患者・老人)、富山加津江(患者・女王)、木村朗子(患者・パブロワ)、寺嶋マリ(患者・狂女)、桂む雀(廷丁)、熊谷美喜(美女)、宮城仙雅(怪人)、大川忍(死体)、反田孝幸(幼少期の一郎)
STORY
呉一郎は目を覚ますとそこはひどく殺風景な部屋で窓には鉄格子がはめられていた。壁の向う側からは少女の叫び声が聞こえてくる。そこへ九州医科大学法医学教授・若林鏡太郎と名乗る男がやってきた。ここは精神科病棟で、若林は前任の主任教授だった正木が死亡したため兼任したのだという。一郎は自分の名前も顔も覚えていなかった。若林によればそれは恐ろしい事件のショックのためで、記憶は自分の力で呼び戻さなければならなかった。一郎はある日同じ病棟にいるモヨ子という少女と対面させられたが、彼女はなぜか自分のことをお兄様と呼んだ。一郎とモヨ子は唐の玄宗皇帝末期の宮廷画家・呉青秀と楊貴妃の侍女・黛子の妹・芬子の子孫で深い因縁で結ばれていた。呉青秀は初め黛子と結婚したが、彼女を殺してその死骸を裸にして写生を始めた。しかし、腐っていくのが早いため代わりの死体欲しさに次々と女を殺していく。彼は自分を慕っていた芬子を連れて逃げ、途中で自分は海に落ちて死んだ。後に残った芬子はお腹の子と共に生き延びたという。一郎とモヨ子はその時の二人の記憶を遺伝してしまっているのだという。また一郎はある日研究室で「ドグラ・マグラ」という小説を手にした。若い大学生の患者が書いた推理物で、読んでいくうちに自分の頭がおかしくなっていくという。著者自身のほか正木や若林もモデルになっていた。一郎の頭の中ではさまざまな過去のイメージや幻想、妄想が複雑に絡みあっていた。死んだはずの正木との対話、母・千世子の想い出と母親殺しの容疑、婚礼前夜の花嫁殺し、モヨ子の遺体の替玉と怪人……。そして、ある日一郎が目を覚ますと、そこは病室で窓には鉄格子がはめられており、彼は記憶喪失で自分の名前や顔も覚えていなかった。【「KINENOTE」より】
日本四大奇書の1つを松本利夫監督が映画化。
シネマノヴェチェントにて鑑賞。
原作は学生時代に読んだことあり(ちなみに私のハンドルネームはもう一つの奇書『黒死館殺人事件』の探偵の名を拝借)。
この強烈なビジュアルとともにこの映画の存在も知ってはいたが、読後に精神に異常を来すとまで言われたこの原作の映画化なんてあまりにも無謀すぎてどうせ大したことないであろうと思いつつ手を出さずにいた。それが今回、新宿梁山泊でもお馴染みの松田洋治さんのトークショーつきでフィルム上映されるというので早速予約した次第。
結果、上映時間の都合もあって凝縮されている分、ストーリーが分かりやすく整理されていて(もちろんそれでもよく分からない部分はあるが)、なおかつ演出面や美術、撮影、照明などのスタッフワーク、役者陣の演技もよくてかなり満足度の高い作品となっていた。
松田洋治さんも一緒にご覧になって、休憩後、トークショー(私は参加しなかったけど、その後、サイン会&撮影会、更には懇親会も)。
詳細は書けないけど、2時間たっぷり撮影裏話や出演することになった経緯、更には子役時代の話や舞台の話なども聞けて大満足。もう一度映画を観たくなった。