鴨リンピック2024『青木さん家の奥さんⅡ』 | 新・法水堂

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鴨リンピック2024

『青木さん家の奥さんⅡ(つう)』



【東京大会】
2024年8月22日(木)〜25日(日)
雑遊

作:内藤裕敬 演出:荒谷清水
照明:池田哲朗(㈱PAC West)
制作協力:岡本康子
企画製作:鴨リンピック実行委員会

出演:
渡会久美子[新宿梁山泊]
赤松由美[コニエレニ]
中道裕子
鴨鈴女[南河内万歳一座]

ギター:安田太

STORY
本番3日前に作・演出に逃げられた4人の女優。それぞれの不安を口にしつつ、残されたわずかな台本とビールケースを手がかりに青木さん家の奥さんが好みそうな舞台を作り上げていく。

1994年、南河内アマゾンとして内藤さん自身の演出で初演、その後、2008年からは鴨リンピックとして4年に1度上演を続けている作品。

男性キャストメインの『青木さん家の奥さん』は映像で観た記憶はあるが(関西ローカル局で深夜に放送されていた)、女性版の『Ⅱ(つう)』は初めて。
舞台の壁沿いには山のように積まれたビールケース。下手奥にギターの安田太さんが陣取り、上手奥、積まれたケースの上には聖火台に見立てられた中華鍋。

定刻から遅れること8分、法被姿で前説をしていた荒谷さんによる開会の言葉によって本篇開始。下手奥の小さな扉から4人が登場し、それぞれビールケースを椅子代わりにして着席。下手から渡会さん、中道さん、赤松さん、鴨さんの順。鴨さんはミルキーの服。
まずそれぞれがいかに不安か、いかに落ち着かないかなどを話してなぜか歌い、徐々に芝居づくりを始めていく。
本作には役名はなく、本人として舞台に立っている。必然的にそれぞれの役者の力量、個性、これまで培ってきたものが問われるわけだが、今回の4人はいずれも年季の違いを見せつけてくれた。
とりわけ新宿梁山泊の渡会久美子さんと元唐組の赤松由美さんの共演は胸熱で、文字通りスケールアップした赤松さんは汗びっしょりになっての熱演だった(新人扱いというのがまた可笑しい)。
青木さん家の奥さんが好みそうな芝居ということで、2.5次元だったりミュージカルだったりを試す中、ビールケースを並び替えてパリの街並みや王座に見立てるあたりは実に演劇的。俳優陣の奮闘ぶりもあいまって感動すら覚えるほどだった。

上演時間1時間20分。