フライングシアター自由劇場『あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た』 | 新・法水堂

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フライングシアター自由劇場 第二回公演

『あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た』

 

 

【東京公演】

2024年6月6日(木)〜12日(水)

新宿村LIVE

 

原作:ウィリアム・シェイクスピア『夏の夜の夢』

翻訳:松岡和子 脚色・演出・美術:串田和美

照明:齋藤茂男 音響:市來邦比古

映像:栗山聡之 衣装:原田夏おる

演出助手:荒井遼 舞台監督:福澤諭志

演出部:𠮷村彩香 照明操作:高円敦美

音響操作:齋藤正樹

映像操作:牛島岳子、仁井田瑠美

宣伝絵画:平松麻 宣伝写真:串田明緖

宣伝デザイン:GRiD CO.,LTD.  

制作:梶原千晶、長谷川きなり、串田明緖 

企画・製作:フライングシアター自由劇場

 

出演:

島地保武(シーシアス/オーベロン/研師/石壁)

大空ゆうひ(ヒポリタ/ティターニア/ラオ屋のみっちゃん/月の光)

谷山知宏(ハーミアの父イジーアス/妖精/口上/ボトム(左官屋)/ピラマス)

皆本麻帆(ハーミア/妖精/表具師/シスビー)

川上友里(ヘレナ/妖精/仕立て屋/シスビー)

小日向星一(ライサンダー/シスビー/妖精/いかけ屋/演出家)

串田十二夜(ディミートリアス/ピラマス/妖精/汚穢屋のヨシオさん/ライオン)

串田和美(パック/男/指物師)

 

STORY

8人の俳優たちは皆、夢を見ている。或いは誰かの夢の中に浮遊する。8人の俳優たちは皆、森と呼ばれる夢の時空を彷徨う。8人の俳優たちは皆、ピラマスとシスビーの悲恋を演じ、恋をする。【公式サイトより】


シェイクスピアの『夏の夜の夢』を串田和美さんが脚色して上演。


30年前、串田さんの依頼で松岡和子さんが初めてシェイクスピア劇の翻訳を手掛けたのが『夏の夜の夢』だったとか。

今回はタイトルも変えて、舞台は全面、白。この新しい劇団で、また一から新たなものを作り出そうという串田さんの意気込みが感じられる。


『夏夢』はこれまでも色々なバージョンを観てきたが、8人という少人数で演じられた本作は随所随所に遊び心が感じられ、30年前と同じパック役を演じる串田さんをはじめいずれのキャストも楽しげ。

新たなタイトルに「夏」とともに残った「夢」は本作のテーマでもある。夢はイマジネーションやフィクションと置き換えてもいいが、ホモサピエンスはずっと夢を見る、あるいは作り出す力によって時には目を覆いたくなるような現実世界を生きながらえてきた。

その夢の力、ひいては演劇の力をもっとも感じられたのが最後のパックの口上で、シェイクスピアが描いた夢が400年以上受け継がれているという事実に胸が熱くなった。


様々なバックボーンを持った出演者の顔ぶれも本作の見所の一つだが、本職はダンサーで、舞台作品への出演は2回目だという島地保武さんは存在感があってよかった。大空ゆうひさんが被り物(月)をする姿なんてのも滅多には見られないだろうな。笑

 

なお、本作は夏至にあたる6月21日と翌22日(大空ゆうひさんお誕生日)にルーマニアでのシビウ国際演劇祭でも上演予定とのこと。

 

上演時間1時間49分。


終演後、森山未來さんをゲストに迎え、串田和美さん、大空ゆうひさん、島地保武さんでアフタートーク。