The Lost Symbol by Dan Brown | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

The Lost Symbol

『ロスト・シンボル』




著者:Dan Brown(ダン・ブラウン)

出版社:Doubleday

出版日:2009年9月15日


『天使と悪魔』、『ダ・ヴィンチ・コード』に続くダン・ブラウンさんによるロバート・ラングドン教授シリーズ第3弾。

以前にも記事に書いたAmazon Kindleにて読了。


ヴァチカン、パリと舞台を移してきたこのシリーズ、第3弾にして本国アメリカの首都ワシントンD.C.にてラングドンの活躍が描かれる。

前2作同様、次から次へと新たな事実が明らかにされ、ほとんど半日の出来事とは思えないほどの濃密さ。

ことの発端はラングドンが恩師でもあるスミソニアン学術協会会長でフリーメイソンの一員でもあるピーター・ソロモン(58歳)から講演を依頼されたこと。 

ピーターの助手を名乗る人物から連絡が入り、自家用飛行機でワシントンにある合衆国議会議事堂のビジターセンターにある国立彫像ホールに向かったラングドン、ぎりぎり開会時間の7時に間に合ったと思いきやホールには誰もいない状態。すると円形大広間から叫び声が上がり、駆けつけてみると床に切断された右手が置かれている。ラングドンは指輪などからそれがピーターのものだと判断し、警察の捜査が開始されるが、そこになぜかCIAが現れる。


そのCIA警備主任が日系アメリカ人。

なのだが、名前がInoue Sato。

「佐藤」なのか「井上」なのかはっきりせえよ。笑

と思いつつ、これが映画化された際にこの役を演じるのは渡辺謙さんかはたまた真田広之さんかなどとキャスティングを考えながら読み進めていると、この人物が女性であることが判明。最初に登場するのが電話でがんのために耳障りな声などという描写があったのでてっきり男性かと思っていた。もっともラングドンも男性だと思い込んでいて"Yes, sir."などと言っていたので、ご本人登場となった時にうろたえていたけど。笑。

『パズル・パレス』ではエンセイ・タンカドなる珍名の日本人も出てくるようだけど、どうしてこれほどの情報量を持っている人なのに、日本人の名前となるとこうもいい加減なんだろう。何か恨みでもあるのか。

ひとまず脳内キャスティングとしては桃井かおりさんをイメージ。なんだかんだ言いつつ、中国か韓国の女優さんに奪われたりして。笑


一方、ラングドンをワシントンに呼び寄せたのがMal'akhという人物。

全身にタトゥーを施した異様な風体のこの男は、ピーターの命と引き換えにAncient Mysteriesの謎を解くように迫る。

ピーターの妹でNoetic Scienceを研究するキャサリンとも接触していたMal'akhは、実は10年前、ピーターとキャサリンの母を惨殺した人物で、しかもピーターの息子ザッカリーの死にも関与していた。

彼がなぜそこまでソロモン一家に対して恨みを抱いているのか。その正体が明らかになるくだりは思わず思考停止状態に陥ってしまうほど驚愕してしまった。このMal'akh役も誰が演じることになるのか興味津々。


前2作に比べると評価は落ちるようだけど、何のなんの。ワシントンD.C.の設計にこれほど先人たちの意図が隠されていたのかという驚きの連続で、ロバート・ラングドンが死んだかと思わせる展開などもあって楽しめた。

少々観念的な面もあり、どうしてもキリスト教中心で世界を捉えてやしないかいという気はしたが…。


ちなみにKindleでは単語にカーソルを合わせれば意味が下に表示されるようになっているので便利。GoogleやWikipediaも使えるので(しかも通信費無料!)"Google 'George Washington Zeus.'"(ここでのGoogleは「ググる」という動詞)という台詞があれば早速検索して、登場する建造物や絵画、彫刻などを確認しながら読み進められるのもよかった。その分、読み終えるのに時間がかかったような気もするけど。笑