演劇集団キャラメルボックス『君の心臓の鼓動が聞こえる場所』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

演劇集団キャラメルボックス2008クリスマスツアー
『君の心臓の鼓動が聞こえる場所』


【名古屋公演】
2008年11月21日(金)~23日(日)
名鉄ホール

脚本・演出:成井豊+真柴あずき
美術:松井るみ 照明:黒尾芳昭 音響:早川毅
舞台監督:村岡晋、二本松武
振付:川崎悦子<BEATNIK STUDIO>
スタイリスト:花谷律子 ヘアメイク:武井優子
小道具:高庄優子 音楽監督:加藤昌史

出演:
黒川智花(日高いぶき)
西川浩幸(脚本家・根室典彦)
岡内美喜子(マネージャー・真知子)
大内厚雄(ミステリー作家・砂川)
筒井俊作(岩見沢)
三浦剛(真知子の兄・小樽)
大森美紀子(典彦の母・花絵)
前田綾(妹・美華子)
菅野良一(父・孝造)
岡田さつき(プロデューサー・奥尻)
實川貴美子(その部下・亀田)
阿部丈二(脚本家・松前)
温井摩耶(典彦の元妻・亜希子)

STORY
12月23日。脚本家・根室典彦は40歳を過ぎていまだ独身。7月期の連続ドラマの脚本の仕事を得ようとマネージャーの真知子とともに、プロデューサーの奥尻と部下の亀田と食事会に出ていた。その帰り、真知子が夫と別居中だということを知った典彦は、話をするために真知子を家に誘う。同居している母・花絵と妹・美華子はハワイへの慰安旅行中で留守だった。典彦が真知子への思いを伝えようとしたとき、突然、チャイムが鳴る。ドアを開けるとそこにいたのは14年前に別れたきりの娘・いぶきだった。典彦は塾のバイトがきっかけで同じ大学の亜希子と付き合いはじめ、卒業後すぐに出来婚したのだが、わずか6年で離婚。現在、妻と娘は札幌に住んでいるはずだった。19歳になっていたいぶきは、原稿用紙の束を差し出して小説を書いたから出版社の人を紹介してほしいと言う。翌朝、旅行から帰ってきた花絵と美華子も成長したいぶきの姿に驚く。いぶきだけには2人の他に祖父・孝造の姿も見えていた。いぶきが作った朝食も食べずに出勤する典彦。彼はかつての教え子で今では人気ミステリー作家となっていた砂川と会社を設立し、そこで執筆活動を行っていた。典彦は砂川にいぶきの原稿を読んで欲しいと言う。原稿を読んだ砂川は、弁当を作って会社に現れたいぶきに19歳が初めて書いたとは思えないほど完成していると感想を伝え、大手出版社に勤める真知子の兄・小樽に原稿を渡す。奥尻から呼び出しがかかった典彦は、またしてもいぶきの料理を食べずにテレビ局に向かう。奥尻は人気脚本家・松前が書いたドラマの脚本に原作者からクレームがついたため、何とか新たなアイディアを出してほしいと依頼する。一方、サイン会にいぶきを連れて行った砂川は、原稿を書いたのがいぶきではないと疑い始める。

成井豊さんが17年ぶりに書き下ろした小説を舞台化。

初の生キャラメルボックス。
キャラボは最近は名古屋でもちょこちょこやっているのだけど、何となく見送っていた。
だがしかーし。今回は成井豊さん&真柴あずきさんによるドラマ『雨と夢のあとに』『てるてるあした』に出演していた黒川智花さんが初舞台ということで即決。笑

適度にギャグもあり、それなりに楽しく観られる。ハマる人はハマるだろうなぁと思いつつも、やはり合わないなぁと思わせるところがいくつか。
例えば、のべつまくなしに歌入りの曲がBGMとして中途半端に流れているのも気になるし、状況を台詞で説明しすぎている。身振り手振りを交えて台詞を言うのも何だかとっても不自然。判りやすくしようとしてるんだろうけど…。
一番驚いたのが、いぶきが典彦の家にやってくるシーン。
奥から扉がおもむろに舞台前面に運ばれ、持ってきた人がその場で支える。
で、そこで一くさり芝居があって、扉は舞台奥へ。
そして典彦の家にいたマネージャーが帰ることになって再び扉が前面に。
え? 何なのこの演出?
それこそ、そこはマイムでいいじゃん。

それでも。
最後にはいぶきの父への思いにホロリ。
やっぱり黒川智花さんはいいなぁ。
今回はある種の二役で、正直言ってあまり演じ分けは出来ていない(周りは「喋り方がまるで別人」なんて驚いてみせるけど…)が、その点以外は堂々たる主演っぷり。
カーテンコールでも落ち着いたものだった。

そうそう、劇中、典彦にドラマの書き直しの依頼が舞い込むのだけど、その作品名が『火斗美(ひとみ)ふたたび』。もちろん、これは真柴あずきさんが脚本を書いているドラマ『七瀬ふたたび』のパロディ(内容は全然違うけど)。
ちなみにドラマの脚本にクレームをつけてきた原作者の名前はススイマスタカ。笑

客席後方は割と空席が目立っていたけど、かつての人気劇団も落ち目なのかな。
明日以降、今日の半券を持ってくれば当日券が半額になるなんてこともしているようで…。