システム個人『探偵のいる街で』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

システム個人 第一回本公演

『探偵のいる街で』


2024年3月5日(火)~6日(水)

アルネ543


作・演出:林泰製

音響・照明:林泰製

宣伝美術:NIHONBARE

場内誘導:ひろなかたけと(5日)、紙谷宥志(6日)

協力:劇団肋骨蜜柑同好会


出演:

【第一部】

「シュナウザーと2人」

水口昂之(元恋人に未練たっぷりな青年・浦上清)

加納遥陽(青年の元恋人・六角絵梨)

「まほろのTシャツ」

さんなぎ(私立小学校の3年生・ツノガシラ キノタ)

加納遥陽(そのアニメ好きな友人・ハギムラ ツムギ)

高橋温(キツネ顔の男)

「語り」

藤本悠希(バー「カウボーイ」のマスター・秀岡譲)

加納遥陽(外車の運転手・水無月小百合)

さんなぎ(秀岡の妻・亜希子)

高橋温(バーの常連客・綱沢)

水口昂之(バーの常連客・米山)

「スランプ」

さんなぎ(警察官・緑原茉以)

藤本悠希(スランプ中のスポーツ選手・別栗大介)

高橋温(別栗のコーチ・甘腰斗季子)

「倉庫と思い出たち」

水口昂之(浦上清)

藤本悠希(かつて売れっ子だった俳優・上杉純)

高橋温(上杉のマネージャー・君塚呉吾郎)

加納遥陽(六角絵梨/上杉のファン1)

さんなぎ(上杉のファン2)


【第二部】

さんなぎ(探偵・御徳寺まり)

高橋温(御徳寺の恋人・君塚呉吾郎/誘拐事件の捜査担当・草壁刑事)

藤本悠希(俳優、プロダクション純社長・上杉純)

加納遥陽(御徳寺の助手・六角絵梨)

水口昂之(六角の元恋人・浦上清/プロダクション純の親会社の専務・溝岡尚哉/御徳寺に協力する刑事・淀沢刑事/御徳寺に助けられたカフェの店主・源/ある御曹司・木綿雪夫)


STORY

探偵・御徳寺(ごとくでら)まりの住む街で誘拐事件が発生する。誘拐された溝岡尚哉は遺体となって発見される。御徳寺は助手の六角絵梨とともに事件を調べ、かつて売れっ子俳優で今ではプロダクション純の社長として舞台の演出を手掛ける上杉純に疑いの目を向ける。上杉は親会社の専務である溝岡から劇場の閉鎖を言い渡されており、動機はあった。しかし、彼にはアリバイがあり、上杉の部下・君塚呉吾郎は恋人でもある御徳寺との板挟みとなる。


林泰製(たいせい)さんによるユニット・システム個人第一回公演。


二部構成になっていて、第一部はリーディング形式で5つのエピソードが語られ、第二部はストレートプレイでとある殺人事件の顛末が描かれる。

舞台は白のボックスがいくつかあるのみ。


この二部構成という試み、決して悪くはないと思うのだが、こと今回に限ってはマイナス面が大きかった。というのも、名指しは避けるが、冒頭から男性俳優(もうこの時点で名指しを避ける意味はないけど。笑)噛む。盛大に噛む。何度も噛む。リーディングなのに噛む。

というわけで、正直なところ、第一部は少々キツいものがあった。


その点、第二部はさんなぎさん演じる探偵・御徳寺まりがメインということもあり、大いに楽しめた。この御徳寺、喜怒哀楽の振り幅が大きく、クールに決めたかと思えば恋人の前では「推理を褒めて」と甘え、羽交い締めにされるほど怒り狂ったかと思えば子供のように泣き出す。およそ歴代の名探偵と呼ばれる人たちとは異なったキャラクターをさんなぎさんが実に魅力的に演じていた。シリーズ化希望。


上演時間1時間28分。